令和7年度建築物の環境衛生「過去問題解説3」
問題31
空気汚染物質とその健康障害との組合わせとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
- オゾン―――――――――気道粘膜の刺激
- ラドン―――――――――肺がん
- ハウスダスト――――――喘息
- たばこ煙――――――――慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 二酸化窒素―――――――過敏性肺炎
答え【5】
(5)が誤りです。過敏性肺炎は、有機粉じんの吸入により起こるアレルギー性の疾患です。
窒素酸化物は刺激性が強く、非水溶性のため吸入すると肺深部まで達する。毒性が強く、高濃度の場合は、目、鼻、のどを強く刺激する。
慢性症状として、慢性気管支炎、胃腸障害、不眠症等を起こすことがある。
汚染物質の例
| 汚染物質 | 主な発生源 | 人体への影響 |
|---|---|---|
| ホルムアルデヒド | 建材材料(接着剤、内装材) | 目、鼻、喉の刺激 |
| 硫黄酸化物 | 排ガス、燃焼器具、石油スト―ブ | 喘息、粘膜刺激 |
| 窒素酸化物 | 排ガス、燃焼器具、ディ―ゼルエンジン | 気管支炎、呼吸器障害 |
| アスベスト | 断熱材 | 肺がん、肺気腫、中皮腫 |
| ラドン | 土壌 | 肺がん |
| VOC | 洗浄剤や溶剤 | シックビル症候群 |
| 一酸化炭素 | 燃焼器具(不完全燃焼) | 一酸化炭素中毒 |
| オゾン | コピ―機 | 気道粘膜刺激 |
| たばこ煙 | 喫煙 | 慢性閉塞性肺疾患(COPD) |
| ハウスダスト | 粉じん、ダニ | 喘息、アレルギ―疾患 |
| 微生物(細菌、カビ類) | 超音波加湿器 | 過敏性肺炎 |
| パラジクロロベンゼン | 防虫剤,トイレの消臭ブロック | 目眩、頭痛、肝臓障害を起こす |
問題32
ホルムアルデヒドに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 常温では気体として存在する。
- 水に溶けにくい。
- 可燃性である。
- 建築基準法により、含有建材の使用が制限されている。
- 粘膜に対する刺激が強い。
答え【2】
(2)が誤りです。ホルムアルデヒドは水に溶けやすいです。
ホルムアルデヒド
- ホルムアルデヒドは、常温では可燃性の無色の気体である。水やアルコ―ル等に溶けやすい。
- 35~38%水溶液はホルマリンと呼ばれている。
- ホルムアルデヒドは還元性が強く、人間にとって毒性、刺激性が強い。発がん性が確認されている。
- 建材、洗剤、化粧品、消毒剤、防腐剤に利用されている。
- 燃焼排気ガス、たばこ煙中にも存在
- シックハウス症候群及び肺気腫の原因物質である。
- 建築基準法によって居室の種類によるホルムアルデヒド発散建築材料の面積制限と換気設備の設置が義務付けられている。
ホルムアルデヒドは新築の住宅や家具類の接着剤から発散します。
それにより、シックハウス症候群が多発しました。(1990年代)
新築、増築、大規模の修繕又は大規模の模様替えを完了し、その使用を開始した時点から直近の6月1日から9月30日までの間に1回実施することと定義されています。
上記ことがら丸暗記すること。
濃度の影響
| 濃度[ppm] | 影響 |
|---|---|
| 0.01 | 結膜の刺激 |
| 0.03~0.05 | 中程度の眼の刺激 |
| 0.08 | WHOの基準値 |
| 0.16~0.45 | 眼・鼻・のどの灼熱感、角膜刺激症状 |
| 0.8 | 臭気を感じる |
| 1~3 | 眼・鼻・のどの刺激、不快感 |
| 5~10 | 眼・鼻・のどの強い刺激、軽い流涙 |
| 15~20 | 咳・深呼吸困難 |
| 50以上 | 深部気道障害、肺水腫 |
過去に出題された問題
- 水やアルコ―ルに溶けやすい。
- 常温では気体として存在する。
- 合成樹脂や接着剤の原料となる。
- 発がん性がある。
- 可燃性である。
- 尿素系やフェノ―ル系の合成樹脂の生成に用いられる。
- たばこ煙中に存在する。
- 暖房器具から発生する燃焼排気ガス中に存在する。
- 35~38%水溶液は、ホルマリンと呼ばれる。
- 洗剤や化粧品の原料として使われる。
- 肺気腫を起こす。
- 消毒剤や防腐剤として使用される。
問題33
騒音とその影響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 騒音による健康影響は、年齢や生活習慣等による複合的な要因によっても変化する。
- 夜間騒音レベルが20dB程度で、実質的な生理学的影響が生じる。
- 騒音によって起こる4,000Hz付近の聴力低下を、C5ディップという。
- 一定時間内の騒音レベルは、等価騒音レベル(騒音レベルの測定時間内における平均値)によって評価する。
- 騒音性難聴では、次第に高周波域から低周波域へ聴力低下が広がっている。
答え【2】
夜間騒音レベルは30dB以下では、実質的な生理学的影響が生じない。実質的な生理学的影響が生じる夜間騒音レベルは30dB程度で、40dB程度から健康への悪影響が出始める。
騒音とその影響
ヒトの聴力は、一般的に20前後で最も良く、加齢によって、高い周波数から次第に低い周波数域に聴力の低下が見られる。これを加齢性難聴(老人性難聴)という。
こうした聴力低下には、周辺の騒音、テレビ等の音声や音、自分の活動による騒音も含めた全ての音が関係する。
- 騒音職場に長時間にわたり働いていると難聴が起こりやすく、これを騒音性難聴(職業性難聴)という。
騒音性難聴(職業性難聴)の初期の特徴は、通常、約4kHz付近での聴力低下(C5dip)と呼ばれる。)と耳鳴り等である。 - 騒音により自律神経系が刺激され、抹消血管の収縮、血圧の上昇、胃の働きの抑制等が起こる。
- 副腎ホルモンの分泌の増加、性ホルモン分泌の変化等が起き、騒音レベルが高くなると、生理的・身体的な影響が大きくなる。
- 騒音による健康影響は、年齢や生活習慣、生活・活動環境などによる複合的な要因で変化する。
- 55dB超の夜間騒音で心臓血管系への影響を示す科学的根拠があるとしている。
- 超音波は、医療機器、工作機械、洗浄機等から発生し、強いレベルの場合には、耳鳴り、頭痛、吐き気、疲労等の身体的影響が見られる。
- 聴力低下や難聴といった聴力障害の程度は、聴力レベルにより評価される。
中度・重度の難聴になると、言語聴取に支障が起こる。 - 大きく、高い音に一時的にばく露されていると、聴力は一時的に低下する。これを一過性聴力閾値上昇(TTS)という。
一時的な聴力低下は、通常、その後の静かな環境により回復する。しかしこの状態が繰り返され、長時間にわたると聴力低下は進行・慢性化し、永久性の聴力低下となる。これを永久性聴力閾値上昇(PTS)または永久性難聴という。 - 永久性難聴の程度は、周波数や音圧レベル、一日のばく露時間、ばく露年数等により異なり、障害の程度や進行具合には個人差が大きい。
- 聴力検査では、500、1000、2000Hzの聴力レベルの平均値(3分法平均聴力レベル)と4,000Hzの聴力レベルとが、ともに30dB未満の人を聴覚正常者としている。
- 音が大き過ぎる、「やかみしい」、「うるさい」、「不快だ」、「迷惑だ」、「邪魔だ」等の心理的影響は、聴取妨害とともに住民の騒音苦情の大半をなしている。
問題34
振動に関する次の記述のうち最も不適当なものはどれか。
- 都市部における全身振動の振動源には、建設機械、道路交通、工場等がある。
- バスやフォークリフトで知覚される振動は局所振動である。
- ヒトにおける振動の知覚は、全身に分布する知覚神経末端受容器によってなされる。
- 1秒間の振動回数を周波数といい、単位はHzである。
- 局所振動による末梢の循環障害の誘因の一つに寒冷がある。
答え【2】
(2)が誤りです。バスやフォークリフトで知覚される振動は全身振動である。
振動に関すること
- 環境要因として問題になる振動は全身振動と局所振動に分けられる。
- 全身振動の振動源には、建設機械、道路交通、工場、鉄道等であり、地面を伝搬してきた振動が、建築物内にいる人間によって全身振動として知覚される。この場合、建築物の窓や家具等の振動に夜音として知覚され、また揺れとして視覚的に知覚される。
- 全身振動の大きさの感覚は、建築物の振動物体上にいる人の姿勢、すなわち、立位、座位、横臥位、仰臥位等によって異なる。このために全身振動は、鉛直振動と水平振動に分けて測定・評価する。
- 人は鉛直振動のほうが 水平振動より敏感に感じる
- 振動による人の感覚は、周波数によって異なる。
- 鉛直振動では4~8Hzの振動に最も感じやすい。水平振動では1~2Hzである。
- 振動の知覚は、皮膚、内臓、間接等、人の全身に散らばる知覚神経末端受容器によりなされる。全身振動の場合には、内耳の前庭器官、三半規管が加速度の知覚に関係している。
- 人間の周波数による振動感覚の違いを補正して計測した振動加速度レベルを周波数補正加速度レベルまたは振動レベルという。
- 振動レベル55dBは地震の震度段階0(無感) に相当し、振動感覚閾値という。
- 局所振動ではレイノ―症候群(白ろう病)が生ずる場合がある。
- 振動レベルの単位はdBである。
- 振動の基本的物理量とは、変化、速度、加速度、周波数などであり、振動加速度レベルには基準加速度と加速度実効値が関係する。
- 周波数は振動数ともいう。1秒間に繰り返す振動回数のことで単位はヘルツ[Hz]。
- 全身振動の大きさの感覚は、振動継続時間によっても異なる。2~60Hzでは2秒以下で、また100~200Hzでは0.8秒以下の場合に、継続時間が短くなるにつれて振動の大きさの感覚も減少し、これより長い継続時間の場合には振動の大きさの感覚は一定となる。
- 地面の振動は建築物により増幅されてから、建築物内部の柱や床を減衰して伝搬していくことが多く、屋外地面上により建築物内床面の振動レベルの方が高くなることがある。
- ヒトへの振動としては、通常、周波数範囲1~90Hzの振動が対象となる。
- 低い振動数で新幅の大きい場合には、乗り物酔い、動揺病が発生しやすい。
- 手持ち工具などの使用による振動が手腕などから伝達し、身体局所に問題となる振動が局所振動である。
問題35
光の色の知覚と色の感覚の効果に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 目が受け取った刺激によって生じる感覚が、視覚である。
- 視細胞のうち、錐体細胞は角膜に、杵体細胞は網膜に、それぞれ存在する。
- 暗い場所や明るい場所に合わせて目の感度が変化することを、順応という。
- 暗順応に要する時間は明順応よりも長い。
- 危険・注意等の警告のために実施される配色を、識別配色という。
答え【2】
(2)が誤りです。錐体細胞、杵体細胞はともに網膜に存在します。
目の網膜にある視細胞が光を感知し、神経システムの電気的活動に変換して、脳が処理して知覚する。
- 杆体細胞は暗い時に働く
- 錐体細胞は明るい時に働く
- 視細胞の数は杆体細胞が約1億2,500万個に対し、錐体細胞は約600万個存在し、圧倒的に杆体細胞の方が多い。
- 明順応と暗順応
- 視覚の、暗い所から明るい所への順応を明順応という。(順応に2分程度要する。)
- 視覚の、明るい所から暗い所への順応を暗順応という。(順応に40分程度要する。)
- 暗所視と明所視
- 暗順応して杆体細胞が働いて物を見る作業を暗所視という。
- 明順応して錐体細胞が働いている時を明所視という。
- 視力と照度
- 周囲の照度が低下すると瞳孔は拡大する。(より多くの光を取り入れようとする。)
- 人間の視力は0.001Lxから徐々に現れ、0.1Lx付近で大きく変化する。約10000Lxまで直線的に視力は向上する。(照度が高いほど細かい物を識別しやすくなる。)
- 視対象を見た時、それを正しく認識する明視の条件
- 視対象が明るいこと。
- 視対象の視覚が大きいこと。
- 視対象の動きがないこと。
- 視対象の対比(コンストラスト)が大きいこと。
杆体細胞・・・杆体は光に敏感な色素ロドプシンを含み、感光度が非常に高く、錐体の約500倍の感度をもつ、色を識別できない。
錐体細胞・・・感光度はそれほどでもないが解像力に優れ色を感じることができる。錐体は赤、青、緑の色を感じている。この色を感じる能力のことを色覚という。
明順応・・・・・2分程度で順応
暗順応・・・・・完全に見えるまで40分
















