令和7年度建築物の環境衛生「過去問題解説2」
問題26
体温調節に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 快適温度は、一般的に男性に比べて女性で数度高い。
- 高齢者における、寒冷による血圧の変動は若年者と比較して少ない。
- 着衣の保温性を表す量として、クロ値(clo)がある。
- 蒸発は、水分が皮膚より気化するときに潜熱で皮膚表面の熱を奪う現象である。
- 女性の核心温は、ホルモンによって周期的に影響を受ける。
答え【2】
高齢者における、寒冷による血圧の変動は若年者と比較して大きくなります。
高齢者は
- 身体活動量が少なく、また代謝量も少ない。
- 一般に若年者より暖かい室温を好む。
- 冬期の住宅内の温度を測定してみると、高齢者の室温は若年者と比較して低い場合が多い。
- この原因として、高齢者の寒さに対する感受性の低下が考えられる。
- また、感受性の低下の原因として、皮膚からの温度情報の減少が一因であると考えられる。
低い室温で生活している高齢者は、厚着のため運動性が低下し、そのことが転倒などの引き金となることが考えられる。
以上のことから、高齢者のための温熱環境としては、冬期に着衣量で寒さを補ったり本人の感覚に温度調節を委ねるより、温度計など客観的な基準で室温をコントロールし、また特に冬期には着衣量をできるだけ増やさずに 過ごせるよう、室温を適切な状態に保つことが必要であるといえる。
問題27
アレルギーに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 学校保健安全法において、ダニ又はダニアレルゲンに関する基準が定められている。
- 建築物衛生法の観点から、換気や清掃等の対策が重要である。
- アレルゲンの同定は、症状発生の予防、治療の上で重要である。
- アレルゲンは、免疫グロブリンと呼ばれるたん白質である。
- 国民の5割程度が、何らかのアレルギー疾患に罹患しているとされている。
答え【4】
(4)が誤りです。免疫グロブリンは抗原抗体反応によって体内に生じる抗体であって、アレルゲン(抗原)ではない。
アレルギ―
近年、アレルギ―性鼻炎、花粉症、アトピ―皮膚炎、気管支喘息をはじめとするアレルギ―疾患が増加しており、国民の3割程度が何らかのアレルギ―疾患に罹患しているといわれている。
- アレルギ―とは、特定の抗原(体内に侵入した異物)=アレルゲンによって、その抗原に特異的に結合(攻撃)する抗体(免疫グロブリンと呼ばれるたんぱく質)やリンパ球が体内に生じる。 これを抗原抗体反応、あるいは免疫反応という。そのうち、人に有害な免疫反応をアレルギ―と呼んでいる。
アレルゲン
真菌(カビ)、花粉、ペットの毛、ゴキブリの虫体などほとんどの有機粉じんはアレルゲンとなるが、最も多いのはヒョウヒダニ等の屋内塵性のダニ由来の粉じんである。アレルゲンとなる真菌類としては、カンジダ、アルテルナリア、グラドスポリウム、アスベルギルス、ペニシリウムなどがある。
アレルゲンとはアレルギ―疾患を持っている人の抗体と特異的に反応する抗原のこと。
アレルゲン対策アレルゲン対策としては、室内の温湿度を適正にして、ダニ、真菌の増殖を防ぐ。
ダニの増殖を促すカ―ペット等を必要以上に使用しない。清掃の励行等の建築物の維持管理における配慮が必要である。
空気中に浮遊しているアレルゲンの主要なものはダニアレルゲンである。
気管支喘息の原因となるアレルゲンは主にヒョウヒダニである。
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これ重要です。
ダニは高温多湿になる夏に多いので、アレルゲン量はダニの死骸や糞等が蓄積された秋に最大になる。
(重要)ダニは梅雨の時期が一番活動が活発になります。 秋にダニによるアレルギ―が増える理由は、6月~7月にかけて増えたダニが、 9月に気温・湿度が下がることで大量に死ぬことにより、その死骸が増えるのが原因と言われて います。 ダニ・カビ・ペット・花粉アレルギ―は粒子物質としてみた場合、その大部分は数μmの大きさで、エアフィルタによる除去が有効であると考えられている。
問題28
ヒトの発がんに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ヒトのがんの3分の2以上は、食事や喫煙等の生活環境に関わる要因が原因とされる。
- 日光を浴びることが、発がんの原因となることがある。
- 細胞の増殖を促進する物質は、イニシエータである。
- 発がん促進因子を減らし、抑制因子を増やすことにより、発がんリスクを低下させることができる。
- 建築物の空気中に存在しうる発がん物質からの曝露を抑えることは、がんの一次予防となる。
答え【3】
(3)が誤りです。細胞の増殖を促進する物質は、プロモータです。
DNAに傷を付け変異を起こさせる物質をイニシエータという。
がん細胞は増殖過程で多くの遺伝子変異を獲得し、増殖速度も速くなり、転移等を起こす悪性度の高いがん細胞に変化していく。これを がんのプログレッションという。このようなイニシエーション、プロモーション、プログレッションというがんの進展を多段階発がんという。
発がん物質ばく露からがんの診断までの期間は15~20年とされている。発がん促進因子を減らし、抑制因子を増やすことにより、発がんリスクを低下させることができる。
ヒトのがんの3分の2以上は、食事や喫煙等の生活環境にかかわる要因とされている。
問題29
シックルビル症候群に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 仕事のストレスは、発症の危険因子である。
- 症状とその因果関係は、必ずしも明確でない。
- 特異的な症状はなく、多様な症状を呈する。
- アトピー体質は、発症の危険因子である。
- 目やのどの刺激やくしゃみ等の症状は、加湿により増加する。
答え【5】
(5)が誤りです。目やのどの刺激やくしゃみ等の症状は、加湿により減少する。
シックビル症候群(背景)
シックビル症候群は、1970年代前半に欧米諸国などでオイルショック(エネルギ―危機)を契機に、省エネルギ―のために室内の換気量の 低減を図るとともに、建築物の気密化が進んだ結果、職場内の空気環境が悪化し、事務所建築物で働く人たちに不定愁訴を訴える人が増加した。
シックビル症候群(症状)
| 粘膜の症状 | 眼、鼻、喉の刺激 |
| 中枢神経系の症状 | 頭痛、疲労、倦怠感、吐き気、めまい |
| 精神神経症状 | 抑うつ、不安、集中力・記憶力の低下 |
| 呼吸器系の症状 | 胸部圧迫感、胸やけ、息切れ、咳 |
| 皮膚の症状 | 乾燥、掻痒感、紅斑、ジンマシン、湿疹 |
シックビル症候群(定義)
- そのビルの居住者の20%以上が不快感にもとづく症状の訴えを申し出る。
- それらの症状の原因は必ずしも明確ではない。
- それらの症状のほとんどは該当ビルを離れたら解除する。
慢性的なシックビル症候群の起きやすい建築物の発生要因
- 室内の空気が循環されている。
- 屋外空気の換気量の低減。
- 気密性が高すぎる。
- 室内がテクスタイルやカ―ペット仕上げになってている。
シックビル症候群につながる危険因子
| 個人の医学的背景 | アトピ―体質、アレルギ―疾患、皮膚炎、女性の更年期 |
| 仕事の要因 | 複写機、改築、改装、職場のストレス、不安 |
| 建築物の要因 | 室外空気の供給不足、清掃の回数不足など |
令和3年問題30
問題30
労働安全衛生法に基づく酸素欠乏症等規則(酸欠則)では、空気中の酸素濃度が[ ]%未満である状態を酸素欠乏と定義している。
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答え【2】
労働安全衛生法に基づく酸素欠乏症等規則(酸欠則)では、空気中の酸素濃度が[ 18 ]%未満である状態を酸素欠乏と定義している。
「酸素欠乏症等防止規則」とは、労働安全衛生法に基づき、事業者が酸素欠乏症を防止するために必要な措置を講じることを定めた規則です。具体的には、作業環境の整備や作業方法の確立が求められ、作業場所の空気中の酸素濃度を18%以上に保つことが義務付けられています。また、硫化水素の濃度にも注意が必要です。この規則は、労働者の健康を守るために重要な役割を果たしています。
















