令和2年度建築物の構造概論「過去問題解説1」
問題91
太陽放射に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 太陽位置は、太陽の方位角と、高度から求めることができる。
- 直達日射と天空日射は、短波長放射と呼ばれる。
- UV-A、UV-B、UV-Cと称される紫外線のうち、波長が最も短いのはUV-Aである。
- 太陽定数とは、大気圏外において太陽に正対するときの単位面積当たりに入射する放射エネルギ―のことをいう。
- 紫外線(ドルノ線)は、体内でビタミンDを生成する作用がある。
答え【3】
この問題は建築物の環境衛生の問題のような気がしますけどUV-A、UV-B、UV-Cと称される紫外線のうち、波長が最も短いのはUV-Cである。
紫外線は、可視光線より短くX線よりも長い波長の電磁波のことです。
波長の長さにより、UV-A、UV-B、UV-Cの領域に区分されます。
- UV-C・・・100~280nm
- UV-B・・・280~315nm
- UV-A・・・315~400nm
(4)の太陽定数は、地球の大気の上端で、太陽からの放射線に対して垂直な面における単位面積・単位時間当たりに受けるエネルギ―(仕事率)のことで、約 1.37 × 103 W/m2である。
(5)の波長280~320nmはドルノ線と呼ばれ、ビタミンDの形成作用等、人体への有益な作用効果を有しています。
問題92
建築士法に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- 決められた年限以上の構造設計の実務者には、構造設計1級建築士が付与される。
- 木造建築士は、木造建築物であれば延べ面積にかかわらず新築の設計をすることができる。
- 1級建築士でなければ設計できない建築物が、定められている。
- 建築設備士は、建築基準法の適合チェックが義務付けられている建築物に関与しなければならない。
- 工事監理とは、その者の責任において、工事を施工図と照合し確認することである。
答え【3】
(3)が正しいですが、1級建築士でなければ設計または工事監理できない建築物が、定められている。(5)の工事監理とはその者の責任において、工事を施工図と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかを確認することをいう。
資格 | 内容 |
---|---|
1級建築士 | 建築士法に定められた資格であり、国土交通大臣の免許を受け1級建築士の名を用いて建築物の設計、工事監理等の業務を行う者。 1級建築士でなければ設計または工事監理できない建築物が定められている。 |
2級建築士 | 建築士法に基づき都道府県知事の免許を受けて得られる資格。 一定限度以下の建築物の設計、監理等を行う。 |
木造建築士 | 建築士法で定められた資格。 1・2級建築士に限られた建築物以外の100m2超える木造建築物を新築する場合の設計と工事監理をすることができる。 |
建築設備士 | 建築設備の設計と工事監理について建築士に助言できる。 |
構造設計1級建築士 | 高度な専門能力が必要とする一定の建築物について、法適合チェックが義務付けられている建築物への関与。 |
構造設計2級建築士 |
- 平成30年問題104
- 平成28年問題93
問題93
建築物の基礎構造と地盤に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 液状化現象は、埋立地や砂質地盤等で生じやすい。
- 砂質地盤の長期に生じる力に対する許容応力度は、粘土質地盤より小さい。
- べた基礎は、地耐力が弱いところに用いられることが多い。
- 地盤のうち、第3紀層は土丹層とも呼ばれる。
- 地業は、基礎スラブより下に設けた割ぐり石、捨てコンクリ―ト等の部分をいう。
答え【2】
砂質地盤の長期に生じる力に対する許容応力度は、粘土質地盤より大きい。
地盤 | 長期に生ずる力に対する許容応力度 [kN/m2] |
---|---|
岩盤 | 1,000 |
固結した砂 | 500 |
土丹盤 | 300 |
密実な砂質地盤 | 200 |
砂質地盤 (地震時に液状化のおそれのないものに限る) | 50 |
堅い粘土質地盤 | 100 |
粘土質地盤 | 20 |
堅いロ―ム層 | 100 |
ロ―ム層 | 50 |
[kN/m2]のそれぞれの数値の2倍とする。 (3)のべた基礎とは以下のようなものです。
- 令和元年問題95
- 平成29年問題94
問題94
建築構造とその材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 溶接断面の形式には、突合せ溶接、すみ肉溶接、部分溶込み溶接等がある。
- 梁に使用されるH形鋼のフランジは、主にせん断力に対して抵抗する。
- 鉄骨構造は、じん性に富み、耐震的に有利な構造にしやすい。
- ボルト接合には、高力ボルトが多く用いられる。
- 合成梁は、鉄骨梁とコンクリ―ト床板をスタッドボルトなどにより緊結したものである。
答え【2】
(2)の鉄骨構造の柱や梁には、H形鋼が使用されます。H形鋼の部分にはフランジとウェブがあり、フランジには主に曲げモ―メントにウェブは主にせん断力に対して抵抗している。
鉄骨造(S造)
特徴
- RCに比べ比強度が大きく大スパン構造や高層建築に用いられる。
- じん性に富み、耐震的に有利な構造にしやすい。
- 施工の工期も短く、解体も容易
- 耐火性能性に劣り、耐火被覆、防錆処理をしなければならない。
接合
- ラ―メン構造の鉄骨同士の接合にはリベット、溶接、ボルト等があるが、近年ではほとんどボルト接合である
- 溶接は一般にア―ク溶接が用いられる。
- リベット接合は打ち込み時の騒音と熟練を要する作業の為、現在はあまり用いられなくなった
- ボルト接合は現場での施工が容易で、技術者のレベルに左右されることが少なく、 一定の品質が保てる。
- ボルト接合には普通ボルトと高力ボルトが用いられる。
- 高力ボルト接合では接合部にわざと赤錆を発生させ、より摩擦を得やすくする(塗装してはいけない)
- 平成30年問題97
- 平成30年問題98
- 平成29年問題97
- 平成29年問題98
- 平成28年問題95
- 平成28年問題97
- 平成28年問題98
- 平成27年問題98
- 平成27年問題99
問題95
建築物の荷重あるいは構造力学に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 等分布荷重の作用する単純梁のせん断力は、梁中央で最も大きい。
- 積載荷重には、物品の重量が含まれる。
- 柱を構造計算する場合の積載荷重は、地震力を計算する場合の積載荷重より大きく設定されている。
- トラス構造の部材に生じる応力は、主に軸力である。
- 一般区域における積雪荷重は、積雪量1cmごと1m2につき20N以上として計算される。
答え【1】
(1)は等分布荷重の作用する単純梁のせん断力は、梁中央で最も小さい。まず、等分布荷重とは線材であれば単位長さ、床材等では単位面積当たりの荷重が全長、もしくは全面にわたって一様に分布している荷重。
梁中央のCで0です。
これは覚える必要がありませんが一応等分布荷重の作用する単純梁のせん断力を求める公式があり
Q=wL/2
wは等分布荷重、Lは梁のスパンです。
構造力学
応力には軸方向力、せん断力、曲げモ―メントの3つがある。
軸方向力 | はりの軸方向に働く力のこと。引張応力と圧縮力がある。 |
せん断力 | 部材内の面に作用して、面をずれさせるように作用する力である。 |
曲げモ―メント | 部材を湾曲させようとする力。 |
支持形式
梁等の支持形式には、片持支持形式、単純支持形式、3ピン支持形式があります。
- 片持支持形式
- 一端を固定し他端が自由になっている。
- 単純支持形式
- 一端が回転端(ピン)、他端が移動端(ロ―ラ)になっている。
- 3ピン支持形式
- 2つの回転端(ピン)で支持され、その中間にもう一つのピン接点を持つ。
荷重には鉛直荷重と水平荷重がある。
- 鉛直荷重は固定荷重、積雪荷重、積載重荷等
- 水平荷重は風圧力、地震力等
- 固定荷重
- 固定荷重は建物の自重のこと
- 積載荷重
- 積載重荷には家具、物品の重量並びに利用する人間の重量が含まれる。
- 積雪荷重
- 屋根に積もる雪の重量、積雪の多い地方では荷重はおおきく異なるが、単位荷重も地域により異なる。
- 地震力
- 地震による外力、建築物重量が重いほど地震力を受ける。瓦屋根のような重い屋根は地震に弱い。また、地盤の種類により異なる。
地震力=(固定荷重 + 積雪荷重(+積雪荷重)) X その部分の地震層せん断力係数
- 地震による外力、建築物重量が重いほど地震力を受ける。瓦屋根のような重い屋根は地震に弱い。また、地盤の種類により異なる。
- 風圧力
- 風による外力、建物が高くなるほど風圧力は大きくなる。風力係数 X 速度圧で計算。
- 令和元年問題96
- 平成30年問題96
- 平成27年問題96
買い物は楽天市場