令和1年度建築物の構造概論「過去問題解説1」
問題91
都市の熱環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- COP21において、温室効果ガス削減の枠組みとなるパリ協定が採択された。
- CASBEE(建築環境総合性能評価システム)の評価対象は、エネルギ―消費、資源循環、地域環境、室内環境の4分野である。
- 熱帯夜とは、夕方から翌朝までの最低気温が25℃以上の日をいう。
- ストリ―トキャニオンは、風の弱い日にも熱や汚染物質の拡散能力が高い。
- 都市化により、都市の中心部の気温が郊外と比較して高くなる現象をヒ―トアイランド現象という。
答え【4】
両側を高い建築物で連続的に囲まれた道路空間(ストリ―トキャニオン)のように閉鎖的な空間では、風の弱い日には熱や汚染物質の拡散能力が低下し、極度に生活環境が悪化する危険性があります。ヒ―トアイランド現象とは、都市気候の中でも最も代表的な事例の一つ。都市化の進行により都心部の気温が郊外と比較して高くなる。等温線を描くと、海に浮ぶ島の等高線のようになる現象。
- 平成30年問題91
- 平成28年問題91
問題92
日射・日照に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 太陽から放射される可視光線、紫外線、近赤外線のうち、紫外線の波長が最も短い。
- 遮熱性塗料や遮熱性舗装の特徴は、近赤外線の反射率が大きいことである。
- 天空日射とは、太陽光が大気中で散乱して、地上に降りそそいだものである。
- 夏至の晴天日において、南向き鉛直壁面に日積算日射受熱量は、札幌の方が那覇より多い。
- 日影曲線とは、冬至の日において、地面に垂直な単位長さの棒が水平面に落とす影を時間別に描いたものである。
答え【5】
日影曲線は夏至、春分・秋分、冬至の日に地面に垂直な単位長さの棒が水平面に落とす影を時間別に描いたもので、イメ―ジ的には下のイメ―ジ図のような曲線になります。
従って冬至の日限定ではありません。夏至の日は太陽が高くのぼります。下の図のように影は短くなります。
冬至の日は夏至とは逆に、太陽は低くのぼります。下の図のように影は長くなります。
夏至の日は最も影が短く、冬至の日は影が長くなります。春分・秋分はその中間になります。
また不思議なことに春分・秋分の日に日影曲線が直線になるのです。
直線になるのは日本以外の国でも同じなのです。
問題93
日射・日照及びその調整方法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 樹木の緑葉の日射反射率は、コンクリ―トに比べて大きい。
- ライトシェルフとは、部屋の奥まで光を導くよう直射日光を反射させる庇(ひさし)である。
- オ―ニングとは、窓に取り付ける日除けの一種である。
- 照返しの熱量は、照返し面での日射反射量と、その面での熱放射量とに分けられる。
- 内付けブラインドに日射遮蔽効果は、外付けブラインドに比べて小さい。
答え【1】
日射反射率とは太陽光に含まれている近赤外領域の光を高いレベルで反射すること。 その割合を示したものと言えます。日射反射率は漆喰の白壁や施工直後のアルミシ―ト防水表面では90%前後と大きく、レンガ、コンクリ―トなどの一般材料は10~50%、樹木の緑葉は20%前後である。
問題94
建築士法で定義している設計図書に含まれないものは、次のうちどれか。
- 建具表
- 仕上表
- 配置図
- 面積表
- 現寸図
答え【5】
この問題もビル管理士試験での出題頻度が高い問題です。設計図書に含まれないものは、現寸図です。 直ぐに答えれるようにしておきましょう。
現寸図とは、意匠的あるいは構造的に複雑な部分を実寸で描く図面の事です。
建築基準法の第2条12項には、設計図書について「建築物、その敷地またはこの法規で規定されている工作物に関する工事用の図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書をいう」と記載されています。
つまり、工事に必要な図面(設計図)と仕様書をあわせたものを設計図書といいます。
設計図面は意匠図面、構造図面、設備図面に大別される。
主な図面
配置図 | 建築物と敷地の関係を示す |
平面図 | 部屋の配置を平面的に示す |
立面図 | 外観図ともいう。東西南北に面する4面を描く |
断面図 | 建築物を垂直に切断して内部の立面を示す。主要部を2面以上描く |
天井伏図(ふせず) | 天井の意匠や仕上げ、照明器具、空調器具の大きさ、配置を示す。 天井伏図(てんじょうふせず)とは部屋の天井の仕上げを床から見上げた場合の見取図。天井仕上げ材により両サイドにどれくらいの半端モノを使うか、目地の割付の寸法などを指示するために利用される図面のこと。 |
仕様書 | 建築工事における材料や製品の品質、性能、施工方法、製造者等を指示するもの |
現寸図 | 意匠的に又は構造的に複雑な部分を現尺で描く図面。現寸図は建築基準法に定める設計図書に含まれない。 |
透視図 | 雰囲気や空間の構成を理解しやすいように建築内部を透視して描いた図 |
日影図 | 冬至における日照状態を描く |
矩計図 | 断面詳細図の1種。建物の代表的な部分の外壁の詳細を示す。 建物の一部を切断して、 納まりや寸法等を細かく記入した断面図の詳細版です。 |
- 平成29年問題92
問題95
建築物の基礎構造と地盤に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 異種の基礎構法の併用は、原則として禁止されている。
- 沖積層の地耐力は、第三紀層に比べて大きい。
- 液状化は、埋立地や砂質地盤などで生じやすい。
- フ―チングは、柱又は壁を支える鉄筋コンクリ―トの基礎の広がり部分をいう。
- 地盤の短期に生ずる力に対する許容応力度は、長期に生ずる力に対する許容応力度の2倍とする。
答え【2】
地耐力とは地盤が荷重を支え、耐えることができる力のことを言います。地層はその生成年代により、沖積層、洪積層、第3紀層等に分けられる。
沖積層は新しい堆積層で、一般に軟弱である。
特に埋め立て等で人工的に造成された地盤は、軟弱で耐力が小さく、地盤沈下、地震時の液状化現象等を起きやすい。
聞きなれない言葉にフ―チングとありますが、フ―チングとは柱又は壁を支える鉄筋コンクリ―トの基礎の広がり部分をいう。
液状化現象とは、中粒砂のゆるい地盤で、地震力によって振動を受けると流動化し、地耐力を失ってしまう現象のことで、海岸、河床、埋立地、砂質地盤等で起こりやすい。
- 令和2年問題93
- 平成29年問題94
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