ビル管理士総合情報.com(令和1年度建築物の環境衛生「過去問題解説2」)

令和1年度建築物の環境衛生「過去問題解説2」

問題26

高温障害の種類とその特徴に関する組合せとして、最も不適当なものはどれか。

熱中症――――暑熱障害による症状の総称
熱失神――――血圧の上昇
熱けいれん――低ナトリウム血症
熱疲労――――脱水
熱射病――――中枢神経機能の異常

答え【2】

熱失神は主に血圧の低下です。熱中症の中では一番軽い軽症に分類されます。

熱失神は、夏の暑い環境で立ちっぱなしの時や、運動のし始め、さらには強度の高い運動中などによく起こります。
皮膚血管の拡張によって血圧が低下し、脳への血流が悪くなることにより起こります。

めまい
一時的な失神
顔面蒼白
脈が速くて弱くなる。

熱けいれん

大量に汗をかき、水だけを補給して血液の塩分（ナトリウム）濃度が低下した時に、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれんが起こります。

筋肉痛
手足がつる
筋肉がけいれんする

熱疲労

大量に汗をかき、水分の補給が追いつかないと、身体が脱水状態になり熱疲労の症状がみられます。

全身倦怠感
悪心・嘔吐
頭痛
集中力や判断力の低下

熱射病

体温の上昇のため中枢機能に異常をきたした状態です。意識障害（応答が鈍い、言動がおかしい、意識がない）がみられたり、ショック状態になる場合もあります。

体温が高い
意識障害
呼びかけや刺激への反応がにぶい
言動が不自然
ふらつく

令和2年問題26
平成30年問題24
平成28年問題27
平成27年問題25

問題27

シックビル症候群に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

そのビルに居住する人の20%以上が不快感に基づく症状を認める。
部屋の気密性が高いことは発症要因となる。
原因物質は同定されている。
学校でもみられる。
職場のストレスは、発症の危険因子となる。

答え【3】

シックスビル症候群は原因が特定されていない。さまざまな環境要素がかかわる健康障害です。

シックビル症候群(症状)
粘膜の症状	眼、鼻、喉の刺激
中枢神経系の症状	頭痛、疲労、倦怠感、吐き気、めまい
精神神経症状	抑うつ、不安、集中力・記憶力の低下
呼吸器系の症状	胸部圧迫感、胸やけ、息切れ、咳
皮膚の症状	乾燥、掻痒感、紅斑、ジンマシン、湿疹

【参考程度に】

シックビル症候群に似たものでシックハウス症候群があります。

シックハウス症候群とは、新築の住居などで起こる、倦怠感・めまい・頭痛・湿疹・のどの痛み・呼吸器疾患などの症状があらわれる体調不良の呼び名のことです。

平成30年問題26
平成29年問題27
平成27年問題26

問題28

気管支喘息に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

有害な免疫反応により引き起こされる。
症状の発現には、体内の肥満細胞の働きが関係する。
アレルゲンの同定方法の一つに皮内テストがある。
原因としては、真菌が最も多い。
患者の素因は、発症・増悪因子の一つである。

答え【4】

(4)の真菌が誤りです。
まず真菌とは何か?
真菌はカビの仲間の総称。原虫よりは小さく、細菌よりは大きい。カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス、ムコ―ルなどが有名。

気管支喘息のアレルゲンとして最も多いのはヒョウヒダニ類です。

ヒョウヒダニ類の死骸と糞(ふん)が抗原となって、気管支喘息(ぜんそく)、鼻炎などのアレルギ―性呼吸器疾患を引き起こす。

平成27年問題27

問題29

過敏性肺炎に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

アレルギ―性疾患である。
過敏性肺炎の一種である換気装置肺炎は、好熱性放線菌が原因となることが多い。
大部分の夏型過敏性肺炎は、真菌(トリコスポロン)により発生する。
予防には、飲料用貯水槽や空調用エアフィルタの清掃が重要である。
たばこ煙も発症の原因となる。

答え【5】

過敏性肺炎は外因性抗原の有機粉塵を繰り返し吸入することにより発症する肺炎。たばこ煙を吸ったからといって過敏性肺炎になることはない。

聞きなれない言葉に換気装置肺炎がありますが
換気装置肺炎は、エアコンや加湿器に生じたかびが原因と言われています。
夏型過敏性肺炎は、家の中にいるトリコスポロン（真菌の一種）が主な原因で夏に起こり、過敏性肺炎の約75%を占める。

問題30

室内に存在する汚染物質とその健康障害の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

細菌―――――慢性閉塞性肺疾患
たばこ煙―――喉頭癌
ハウスダスト――慢性鼻炎
真菌――――――アスペルギルス症
ホルムアルデヒド―――シックハウス症候群

答え【1】

慢性閉塞性肺疾患とは、喫煙や化学物質をはじめとした有害物質を吸入することで、気管支や肺胞がダメ―ジをうけて、呼吸障害を来した病態のことです。
通常は、慢性閉塞性肺疾患は肺気腫、慢性気管支炎の2種類を指します。

細菌はバクテリアとも呼ばれている。
細菌は、細胞核を持たない原核生物であり、通常、細胞の大きさが真核生物の細胞に比べて小さいです。細菌は、ウイルスとは違い、栄養があれば、自ら成長したり、増えたりすることができます。細菌には、乳酸飲料や納豆の製造に使われるような役に立つものもあれば、食中毒や病気などを引き起こし、人の健康に害を及ぼすものもあります。例えば、腸管出血性大腸菌やサルモネラ、カンピロバクタ―などは食中毒を起こす細菌としてよく知られています。