平成30年度ねずみ・昆虫等の防除「過去問題解説2」
問題171
害虫に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- コガタアカイエカの性フェロモンを用いた誘引トラップがある。
- アルゼンチンアリは、砂糖、花の蜜、果物等を好む。
- ヒラタキクイムシ類による被害は、針葉樹材を使用すれば発生しない。
- クサギカメムシの越冬侵入に対しては、侵入場所となる窓枠などにシフェノトリンを処理すると侵入防止効果がある。
- ノシメマダラメイガは、貯穀害虫である。
答え【1】
コガタアカイエカの性フェロモンを用いた誘引トラップはありません。誘引トラップとはフェロモントラップと言われていて、合成された性フェロモンを誘引源とし、害虫を捕獲する装置で、主として害虫の発生予察に使用されます。
問題172
殺虫剤やその剤型に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 有機リン剤を有効成分とするマイクロカプセル(MC)剤がある。
- 乳剤は、水で希釈すると白濁(乳濁化)する。
- ピレスロイド剤によりノックダウンした虫は蘇生する場合がある。
- フィプロニルを有効成分とするゴキブリ用の食毒剤がある。
- ジクロルボスは、残効性が高い殺虫剤である。
答え【5】
ジクロルボスは、速効性が高い殺虫剤である。残効性とは、薬剤を処理した場所の対象昆虫に対する持続的な効果のことを指し、残留効果とも言います。
残効性は製剤の違い、処理場所(空間、水面、残留)によっても
大きく異なる。
対象害虫に用法、用量どおりの処理をして、2ヵ月以上効力が持続したら優れた残効性ありと判断される。
問題173
ねずみの生態に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ねずみ類は、高圧変電器を避けることはなく、停電の原因となることがある。
- ドブネズミは、クマネズミに比べて運動能力に優れ、垂直な壁を登り屋内に侵入する。
- ドブネズミは、屋外の植え込みの巣穴や下水道内部に生息している。
- クマネズミは、ドブネズミより警戒心が強く、毒餌やトラップによる防除が難しい。
- ハツカネズミは、好奇心が旺盛で、トラップにかかりやすい。
答え【2】
運動能力に優れ、垂直な壁を登り屋内に侵入する。のはクマネズミです。ドブネズミは泳ぎが得意です。
ネズミの特徴はしっかり覚えておく必要があります。クマネズミ
- 都心の大型ビルではクマネズミが優占種である。
- クマネズミは運動能力に優れパイプ、電線を伝わったり垂直行動が得意でいたるところから侵入する。
- 天井、梁など建物の比較的高層部分まで生息する。
- クマネズミは動物性の餌も食べるが植食性が強い。
- 大きさは、頭胴長が、成獣で15~23cmで、尾長は体長よりも長く、頭胴長の約1.1倍程度で、体重は、大体100g~200gである。形態的な特徴は、耳が大きく、折り返すと目を覆う ほどで、尾の長さは体長よりも長い。
- 毛色は背面が黒褐色で、腹面はやや黄褐色のものが多い。
- クマネズミは警戒心が強く、毒餌をなかなか食べず、防除が困難である。
- クマネズミは、天井裏、壁の中、カウンタ内部、空気調和機の内外、戸棚や引出しの内部、ソファ内部、ちゅう房の機器内部等、多彩に巣を作る。
ドブネズミ
- ドブネズミは比較的平面的な活動をするので地下や厨房、低層階に多い。
- ビルの周囲の植栽の土壌などに穴を掘って生息する。
- ドブネズミの食性は雑食性であるが、動物蛋白を好む。
- ドブネズミの大きさは、頭胴長が成獣で22~26cmで尾長は体長よりもやや短い(体長の0.7~0.9倍)、体重は最大のもので500gを超す。(成獣でおよそ200g~500g程度)
- 特徴は耳が小さく肉厚で、倒しても目まで届かないことと尾の長さが体長よりも短い
- ドブネズミは泳ぎが得意。排水溝が最も重要な侵入場所である。水洗便所からも侵入する。
- 毛色は、基本的に背面が褐色、腹面が色白であるが、全身黒色等に変化したものも多い。
- 獰猛であるが警戒心が弱く、防除は比較的やりやすい。
- ドブネズミは床に巣を作ることが多い。
ハツカネズミ
- 農村で優占種であるハツカネズミの生息地は畑地とその周辺地域であるが、ビル内にも生息する。ビルでは局所的な分布で、生息数はドブネズミやクマネズミより少ない。行動範囲も小さい。
- 種子食性である
- 最も小型のネズミで、頭胴長が成獣で6~9cm、尾長は体長よりやや短い程度(体長の0.9~1.0倍)、体重は成獣で約10g~20gである。
- 特徴は、耳が大きくハツカネズミ特有の臭いがする。
- 水気のない環境下でも長時間生息する。
- 好奇心旺盛でトラップにかかりやすいが、殺鼠剤にはもともと強い
問題174
ねずみの防除に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 殺鼠剤は、経口的な取り込みにより効果が発揮される。
- 侵入を防ぐために、通風口や換気口の金属格子の目の幅は1cm以下にする。
- 第1世代の抗凝血性殺鼠剤であるフマリンは、速効性である。
- カプサイシンは、ケ―ブルなどのかじり防止の目的で使用される。
- 防除の基本は、餌を絶つこと、巣を作らせないこと、及び通路を遮断することである。
答え【3】
フマリンは、遅効性である。第1世代のクマリン系殺鼠剤は、少量を4~5日間連日摂取すると、ネズミは血液凝固阻止作用を起こし出血死する。
大量に摂取しても1回の投与ではほとんど致死効果はない。(ワルファリン、フマリン、クマテトラリル)が該当します。
(1)の経口的な取り込みにより効果が発揮される。
経口的とは、薬などを口から与えること。
ということになり
つまり殺鼠剤は食毒剤なので喫食性が重要な鍵を握っています。
問題175
殺鼠剤やその剤型に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ジフェチアロ―ルは、ワルファリンに対する抵抗性を獲得したネズミに対しても有効である。
- クマテトラリルは、第2世代の抗凝血性殺鼠剤である。
- シリロシドは、急性殺鼠剤である。
- 粉剤は、餌材料にまぶして毒餌を作製するのに使用することができる。
- ブロマジオロン製剤は、建築物衛生法に基づく特定建築物内では使用できない。
答え【2】
問題174でも記載した内容ですがクマテトラリルは、第1世代の抗凝血性殺鼠剤である。第2世代の抗凝血性殺鼠剤にはジフェチアロ―ルのみが承認されています。
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