平成30年度給水及び排水の管理「過去問題解説2」
問題111
給水設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 受水槽の容量は、一般に1日最大使用水量の50%程度とする。
- 超高層集合住宅においてゾ―ニングする場合の圧力の上限値は、0.7MPaとなる。
- FRP製高置水槽は、槽内照度が100lx以上になると、光合成により藻類が増殖しやすい。
- 高置水槽へ送水する揚水ポンプの起動・停止は、高置水槽の水位で行う。
- ポンプ直送方式で採用されるインバ―タ制御は、周波数を変えることで回転数を変化させている。
答え【2】
住宅での上限水圧は0.3Mpaです。給水圧力と給水量
高層建築物では、給水を1系統で行うと、下層階において給水圧力が過大になる。そのため中間水槽や減圧弁を用いて上下の系統わけを行う。それをゾ―ニングという。一般的にはホテル、住宅では0.3MPa、事務所・工場では0.5MPaを上限水圧とする。
上記図はゾ―ニングの一例です。
この場合は高層階と低層階にそれぞれ高置水槽を設置して系統分けをしています。
問題112
給水設備に関する語句と数値との組合せとして、最も不適当なものはどれか。
- デパ―トにおける1日当たりの設計給水量――――15~30L/m2
- ホテル客室部における1日当たりの設計給水量――――350~450L/床
- 事務所建築における1日当たりの設計給水量――――60~100L/人
- 小便器洗浄弁の最低必要水圧――――――――30kPa
- 大便器洗浄弁の最低必要水圧――――――――――70kPa
答え【4】
小便器洗浄弁の最低必要水圧は70kPaです。器具 | kPa |
---|---|
一般水栓 | 30 |
大便器洗浄弁 | 70 |
小便器洗浄弁 | 70 |
ガス瞬間湯沸かし器4~5号 | 40 |
ガス瞬間湯沸かし器7~16号 | 50 |
ガス瞬間湯沸かし器22~30号 | 80 |
シャワ― | 70 |
問題113
給水設備に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- 建築物の揺れ、地盤の不等(不同)沈下、配管の振動等による変位の吸収のために、ショックアブソ―バを配管に取り付ける。
- 木製貯水槽は、断熱性能が低いため、結露対策が必要である。
- ポンプ直送方式は、一般に下向き配管が採用される。
- 飲料用貯水槽の流入管は、波立ち防止を考慮して水没させることが望ましい。
- 鋼管に形成された腐食電池回路のアノ―ド部とは、電池回路の電極が水中に流出する部分である。
答え【5】
ショックアブソ―バはウォ―タ―ハンマ―低減対策で使用するものです。(1)は正確には
建築物の揺れ、地盤の不等(不同)沈下、配管の振動等による変位の吸収のために、可とう継手を配管に取り付ける。
(2)は木製貯水槽は、断熱性能が高いため、結露の心配はありません。
(3)ポンプ直送方式は、受水槽に貯留した水を加圧ポンプで必要箇所へ直接給水する方式で、基本受水槽は地下等に設置されることが多いため上向き配管になります。
(3)はポンプ直送方式は、一般に上向き配管が採用される。
(4)は流入管は貯水槽の水が逆サイホン作用で逆流しないように、吐出口空間を取って解放する。
基本高置水槽は屋上に設置されることが多いため下向き配管方式は高置水槽を設置されてる場合に採用される方式です。
可とう継手とは、弾性を持ち、曲げたり伸びたりする事ができる柔構造を持つ継手の総称です。
地震や地盤の不等沈下が発生した際、コンクリ―ト構造物と管や、管どうしを接続する継手部に発生する変位に対して、継手部が有する伸縮部材の形状変形により追随し、コンクリ―ト構造物や管路の破損や漏水を防ぐ事により流下機能を維持する継手の事です。
問題114
給水設備の機器・配管材料に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- TIC溶接は、不活性ガスの雰囲気中で、タングステン電極と溶接母材の間にア―クを発生させて溶接する方法である。
- ボ―ル弁は、ボ―ル状の弁体を回転させ、管軸と通路とが一致したときが全閉であり、それと90°回転した状態が全開になる。
- ステンレス鋼板製貯水槽は、液層部よりも気層部の方が腐食しにくい。
- 銅管は、銅イオンが水に浸出して白濁水を生じることがある。
- 架橋ポリエチレン管の接続方法は、一般に接着接合である。
答え【1】
(2)はボ―ル弁は、ボ―ル状の弁体を回転させ、管軸と通路とが一致したときが全開であり、それと90°回転した状態が全閉になる。(3)はステンレス鋼板製貯水槽は、外観もきれいで耐食性に優れているが、塩素に弱く気層部に腐食が発生することがある。
従って(3)はステンレス鋼板製貯水槽は、気層部よりも液層部の方が腐食しにくい。
(4)は銅管は、銅イオンが水に浸出して青水を生じることがある。
(5)は架橋ポリエチレン管は接着剤で溶かすことができないため、メカニカル形接合か融着接合とする。
ボ―ル弁は良く見かけると思いますが以下のようなバルブです。
この赤のレバ―が配管と同じ方向なら全開配管と90°回転していたら全閉です。 主として給水配管材料の腐食による生成物が水に溶解するために起こる現象で、赤水、青水、白濁水等がある。
- 赤水
- 赤水は、亜鉛めっき鋼管が用いられている給水配管系で、亜鉛層の防食効果が失われ、素地の鉄は腐食し、さびを伴って赤味を帯びるようになったものである。
- 青水
- 青水は、銅イオンを多く含む水に石けんを使用すると着色する現象である。脂肪酸と銅イオンが化合物を形成し、浴槽やタオルを青くする。
- 白濁水
- 白濁水は、亜鉛めっき鋼管を用いた給水系で、亜鉛の腐食生成物が水に混ざって白濁するものである。
問題115
ウォ―タハンマの発生場所・影響・防止方法等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 瞬間的に開閉できる水栓・弁類を使用する場所で発生しやすい。
- 揚水ポンプの吸込管(サクション)側に衝撃吸収式逆止弁を設ける。
- 配管・機器の振動、騒音の発生、配管の破損の原因になる。
- 配管内の圧力の高い場所で発生しやすい。
- 配管は極力まっすぐに配管し、むやみに曲折させてはならない。
答え【2】
(2)は揚水ポンプのデリベリ(吐出管)側に衝撃吸収式逆止弁を設ける。ウォ―タ―ハンマ
液体が充満して流れている管路において、弁等を急激に閉止すると弁前後に急激な圧力上昇が起こり、この圧力変動の波が閉じた点と上流側 との間を往復して、次第に減少していく現象のこと。配管等の損傷の原因になる。
ウォ―タ―ハンマは、水がほとんど非圧縮性であるから起こる(空気のように圧縮性であれば起こらない)←これ重要水柱分離とはポンプを停止して流れを急に止めた場合などに、慣性力と重力の作用により管内が負圧となり、局部的に水の飽和蒸気圧よりも低くなって、局部的に蒸発を起こす現象。
ウォ―タ―ハンマ防止対策
- ウォ―タ―ハンマによる水撃圧力は管内流速にほぼ比例するので、給水管内の流速を2.0m/s以下に抑える。
- 揚水ポンプの吐出管には、衝撃吸収式逆止弁を取り付け、揚水配管の横引きは低所で行う。
- ウォ―タ―ハンマ防止器は内部の気体によってウォ―タハンマの圧力上昇を吸収する。設置する場合はできるだけ発生箇所の近くに設ける。
- ゾ―ニングして適切な給水圧力とする。
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