平成30年度建築物の環境衛生「過去問題解説2」
問題26
シックビル症候群に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 仕事のストレスは、発症の危険因子である。
- 揮発性有機化合物が原因の一つと考えられる。
- 特異的な症状を呈する。
- アトピ―体質は、発症の危険因子である。
- 問題となるビルから離れれば症状は治まる。
答え【3】
特異的な症状はない。粘膜の症状 | 眼、鼻、喉の刺激 |
中枢神経系の症状 | 頭痛、疲労、倦怠感、吐き気、めまい |
精神神経症状 | 抑うつ、不安、集中力・記憶力の低下 |
呼吸器系の症状 | 胸部圧迫感、胸やけ、息切れ、咳 |
皮膚の症状 | 乾燥、掻痒感、紅斑、ジンマシン、湿疹 |
-
シックビル症候群(定義)
- そのビルの居住者の20%以上が不快感にもとづく症状の訴えを申し出る。
- それらの症状の原因は必ずしも明確ではない。
- それらの症状のほとんどは該当ビルを離れたら解除する。
シックビル症候群につながる危険因子
個人の医学的背景 | アトピ―体質、アレルギ―疾患、皮膚炎、女性の更年期 |
仕事の要因 | 複写機、改築、改装、職場のストレス |
建築物の要因 | 室外空気の供給不足、清掃の回数不足など |
- 平成元年問題27
- 平成29年問題27
- 平成27年問題26
問題27
室内の空気汚染による健康影響が一因となる疾患として、最も不適当なものは次のうちどれか。
- ジカウイルス感染症
- 気管支喘息
- 慢性閉塞性肺疾患
- 肺癌
- レジオネラ症
答え【1】
ジカウイルス感染症は蚊(ヒトスジシマカ、ネッタイシマカ)によって媒介される感染症です。
- 令和2年問題32
- 令和元年問題30
- 平成28年問題28
問題28
ホルムアルデヒドに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 可燃性である。
- 防腐剤として用いられる。
- 発がん性がある。
- 水に溶けにくい。
- 建築基準法により、含有建材の使用が制限されている。
答え【4】
ホルムアルデヒドは水に溶けやすく35~38%水溶液はホルマリンと呼ばれる。他の特徴は以下です。
- ホルムアルデヒドは、常温では可燃性の無色の気体である。水やアルコ―ル等に溶けやすい。
- 35~38%水溶液はホルマリンと呼ばれている。
- ホルムアルデヒドは還元性が強く、人間にとって毒性、刺激性が強い。発がん性が確認されている。
- 建材、洗剤、化粧品、消毒剤、防腐剤に利用されている。
- 燃焼排気ガス、たばこ煙中にも存在
- シックハウス症候群及び肺気腫の原因物質である。
- 建築基準法によって居室の種類によるホルムアルデヒド発散建築材料の面積制限と換気設備の設置が義務付けられている。
- 令和2年問題31
- 平成29年問題30
- 平成27年問題28
問題29
たばこに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 喫煙により、肺気腫のリスクが増大する。
- 受動喫煙により、小児の呼吸器系疾患のリスクが増加する。
- 副流煙は、喫煙者が吐き出す煙のことである。
- 妊娠中の喫煙により、低出生体重児の頻度が高くなる。
- 主流煙と副流煙の組成は異なる。
答え【3】
(3)が不適当です。たばこの煙には、喫煙者が吸う「主流煙」、喫煙者が吐き出した「呼出煙」、たばこから立ち上る「副流煙」があり、受動喫煙では呼出煙と副流煙が混ざった煙にさらされることになります。
つまり
(3)の説明は呼出煙のことです。
副流煙は主流煙と異なり、フィルタ―を通さずに発生しているアルカリ性の煙です。そのため、主流煙よりも有害物質の濃度が高くなります。
タバコの煙は一般的に「主流煙」と「副流煙」、「呼出煙」に分けられます。3種類の煙には、それぞれ含まれる成分や有害物質の多さが違うのです。
タバコを通して喫煙者が直接吸い込む煙のことを「主流煙」と言います。タバコの煙にはニコチンやタ―ルなどの有害物質が含まれており、主流煙は口に咥える部分にあるフィルタ―を通るため、有害物質の刺激を緩和させた状態の煙となるのです。
- 平成27年問題31
問題30
建築物衛生法による一酸化炭素の含有率の基準値として、最も適当なものは次のうちどれか。
- 原則 1ppm以下
- 原則 2ppm以下
- 原則 5ppm以下
- 原則 10ppm以下
- 原則 50ppm以下
答え【4解なし(2022年4月以降)】
【2022年4月1日に法改正がありました。】 空気環境の建築物環境衛生管理基準が変更され、温度の基準は「17~28℃」から「18~28℃」となり、一酸化炭素の基準は10ppm」から「6ppm」になりました。 また、一酸化炭素に定められていた特例規定が削除されました。ただ、ここで注意があるのですが、ビル管理法では一酸化炭素含有率は10ppm(現在6ppmです。)ですが、
- 事務所衛生基準規則では50ppm以下
- 空調設備を設けている場合はビル管理法と同じ10ppm以下
参考資料
参考資料の提供先
- 平成29年問題32
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