平成29年度ねずみ・昆虫等の防除「過去問題解説3」
問題176
ねずみの防除に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 捕獲効果を上げるため、餌をつけたうえで数日間はトラップが作動しないようにするなどの工夫をする。
- 防鼠構造・工事基準案では、ドア周辺の隙間は2cm以内にすることとしている。
- 喫食性のよい餌を確認するため、毒餌配置前の2~3日間は何種類かの餌材で予備調査を行う。
- 目視により生息や活動の証跡を確認する調査方法がある。
- 防除においては、餌を絶つこと、巣材料を管理することなどが重要である。
答え【2】
(2)ですがドア周辺の隙間は1cm以内にすることとしている。(1)ですがこれはトラップを配置する場合、いかに慣れさせるかが捕獲効率に大きく影響する。餌をつけても数日間はトラップのバネが落ちないようにする等、実際の使用にあたってはネズミとの知恵比べが必要です。
(4)についてはネズミは、活動にあたって様々な証拠を残す。これらの証拠をラットサインと言います。
(5)については防除の基本は
- 餌を絶つこと
- 通路を遮断すること
- 巣を作らさないこと
問題177
ねずみ用の薬剤に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- 配置された毒餌から、貯穀害虫や食品害虫が発生することはない。
- 抗凝血性殺鼠剤に対する抵抗性を獲得したネズミ集団は知られていない。
- カプサイシンは、第2世代の抗凝血性殺鼠剤である。
- 殺鼠剤は、経口的に取り込ませることにより効果が発揮する。
- シクロヘキシミドは、処理区域からネズミを追い出す効果がある。
答え【4】
(4)が正解です。殺鼠剤は、経口的に取り込ませることを目的としている。
(1)は毒餌から貯穀害虫や食品害虫が発生することもあります。
(2)は抗凝血性殺鼠剤に対する抵抗性を獲得したネズミ集団は知られている。
(3)の第2世代の抗凝血性殺鼠剤今のところ日本ではジフェチアロ―ルのみが承認されています。
そもそもカプサイシンは忌避剤です。
(5)のシクロヘキシミドも忌避剤です。ねずみの追い出し効果はない。
問題178
衛生害虫と疾病に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- イエバエは、腸管出血性大腸O157などの病原体の運搬者として注目されている。
- トコジラミは、感染症の媒介に関わらないと考えられている。
- コガタアカイエカが媒介する日本脳炎の患者は、西日本を中心に発生している。
- ヒトスジシマカは住環境で発生が見られ、デング熱やチクングニア熱の媒介蚊である。
- 我が国では、ヒトノミによる吸血被害が多い。
答え【5】
(5)はノミの被害はほとんどネコノミによる。疾病と媒介動物
疾病 | 媒介動物 |
---|---|
消化器系感染症(O-157) | イエバエ |
小児喘息 | ヒョウヒダニ |
サルモネラ症 | ドブネズミ |
レプトスピラ症 (ワイル病) | ドブネズミ |
疥癬 | ヒゼンダニ |
つつがむし病 | ツツガムシ |
マラリア | ハマダラカ |
腸ペスト | ノミ |
ライム病 | マダニ |
赤痢 | ハエ |
日本脳炎 | コガタアカイエカ |
発疹チフス | コロモシラミ |
ウエストナイル熱 | アカイエカ |
デング熱 | ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ |
ジカウイルス感染症 | ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ |
フィラリア症 | アカイエカ、ヒトスジシマカ |
アナフィラキシ―ショック | スズメバチ類、アシナガバチ |
現在媒介する感染症は確認されていない。 | チカイエカ、トコジラミ |
問題179
ゴキブリの防除に関する次の文章についての解析・評価として、最も適当なものはどれか。
レストランのちゅう房内で、チャバネゴキブリ防除のために、殺虫剤処理を行った。
殺虫剤の処理前に、3箇所に3日間配置した粘着トラップでの捕獲数が合計180匹であった。処理後に3箇所に4日間配置したトラップでの捕獲数は合計24匹であった。
- 処理前のゴキブリ指数は60である。
- 処理後のゴキブリ指数は8である。
- この殺虫剤処理による防除率は90%である。
- 建築物における維持管理マニュアルに示される標準的な目標水準に基づけば、処理後の状況は「警戒水準」に該当する。
- すぐに再度の防除作業を実施する必要はなく、6ヵ月以内に1回、発生の多い場所では2ヵ月以内に1回、定期的な調査を継続する。
答え【3】
まずゴキブリ指数とは?1トラップ当たりの1日当たりの捕獲数です。
従って
(1)の処理前は3箇所に3日間配置したので
180÷(3 x3)=20になります。
(2)の処理後は3箇所に3日間配置したので
24÷(3 x4)=2になります。
(3)の防除率は
になり90%の(3)が正解になります。
許容水準 | 環境衛生上、良好な状態をいう。施行規則および告示に基づき、6ヵ月以内に一度、発生の多い場所では2ヵ月以内に1度、定期的な調査を継続する。 |
---|---|
警戒水準 | 放置すると今後、問題になる可能性がある状況をいう。 |
措置水準 | ねずみや害虫の発生や目標をすることが多く、すぐに防除作業が必要な状況をいう。 |
許容水準:以下の全てに該当すること。
- トラップによる捕獲指数が0.5未満
- 1固のトラップに捕獲される数は2匹未満
- 生きたゴキブリが目標されない。
警戒水準:以下の全てに該当すること。
- トラップによる捕獲指数が0.5以上1未満
- 1固のトラップに捕獲される数は2匹未満
- 生きたゴキブリが時に目撃される。
※許容水準及び措置水準の①~③に該当しないは警戒水準とする。
措置水準:以下の全てに該当すること。
- トラップによる捕獲指数が1以上
- 1固のトラップに捕獲される数は2匹以上
- 生きたゴキブリがかなり目撃される。
問題180
衛生害虫や殺虫剤に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- 殺虫剤抵抗性は、様々な系統の殺虫剤に繰り返し接触することによる免疫の獲得によって発達する。
- 昆虫などに対する不快感の程度は、第三者による客観的な判断が困難である。
- 殺虫剤の速攻性はLD50の数値で評価される。
- 農薬は、建築物衛生法に基づく特定建築物内でのゴキブリの防除に使用できる。
- ドバトの建築物への営巣は、ヒトに対するヒゼンダニの寄生被害の原因となる。
答え【2】
(2)が正しい。(1)は様々な系統の殺虫剤に繰り返しではなく同一の殺虫剤を繰り返しです。
(3)は殺虫剤の速攻性はKT50の数値で評価される。
害虫が薬剤に触れてからノックダウン(仰転)するまでの時間です。
LD50は50%致死薬量(中央致死薬量)のこと。ある昆虫の集団のうち50%を殺すのに必要な一匹当たりの必要薬量 通常は動物の体重1kg当たりの投与重量mg(mg/kg)で表示する。
(4)についてですが農薬は農薬取締法による規制を受けています。
むやみにゴキブリの防除に使用してはいけません。
(5)はハトの巣が直接ヒゼンダニの寄生被害の原因になったという報告は今のところありません。
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