平成29年度空気環境の調整「過去問題解説5」
問題66
空気調和設備の各種熱源方式の特徴に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ガスエンジンヒ―トポンプ方式は、エンジンの排熱を回収して有効利用することができるので寒冷地の暖房熱源に適している。
- 吸収冷凍機と蒸気ボイラを組み合わせる方式は、病院・ホテルでの採用例が多い。
- 電動冷凍機とボイラを組み合わせる方式は、年間を通して電力消費量の変化が小さい。
- 直焚吸収冷温水は、1台の機器で冷水又は温水、あるいはこれらを同時に製造することができる。
- 電力需要を主として運転するコ―ジェネレ―ション方式では、空気調和その他の熱需要に追従できない場合がある。
答え【3】
(3)が誤りです。電動冷凍機とボイラを組み合わせる方式は、冷熱源として電動機駆動のレシプロ冷凍機やタ―ボ冷凍機、温熱源としてガス又または油焚のセクショナルボイラや炉筒煙管ボイラを用いる方式です。
冷熱源は冷水、温熱源には温水や蒸気を採用している。夏期冷房最盛期に電力消費量がピ―クになる。中間期や冬期の電力消費量は減少します。
従って、年間を通して電力消費量の変化が大きい。
(5)のコ―ジェネレ―ション方式とは、、ガスまたは油を投入エネルギ―として、エンジン・タ―ビン・燃料電池等用いた発電装置によって発電すると同時に 装置の排熱を空調・給湯などその他のシステムを利用することにより、エネルギ―利用効率を高めるシステムをいう。
- 令和2年問題62
- 令和元年問題62
- 平成30年問題62
問題67
蒸気圧縮式冷凍機を構成する機器として、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 圧縮機
- 凝縮器
- 膨張弁
- 吸収器
- 蒸発器
答え【4】
(4)の吸収器は吸収冷凍機の構成機器です。蒸気圧縮式冷凍機
冷媒ガスを圧縮冷却して液化してこれを蒸発させて周囲から熱を奪う。冷媒ガスを圧縮する圧縮機の形式により容積式(往復式、回転式)遠心式(タ―ボ式)などがある。
- タ―ボ冷凍機(遠心冷凍機)
- 羽根車(インペラ)の高速回転による発生する遠心力で冷媒を圧縮する。
- 往復圧縮機
- シリンダ内のピストンを往復させることにより、冷媒ガスを圧縮する。
- 回転式冷凍機
- シリンダ・ピストンに相当する機構を回転子の回転運動で圧縮作用が得られるようにしたもので、高効率運転が可能で、高速回転に適している。圧縮機本体の小型化・低振動化が可能となり
用途によっては往復動式にとって代わりつつある。
回転式冷凍機にはスクロ―ル型、スクリュ―型、ロ―タリ型がある。
- シリンダ・ピストンに相当する機構を回転子の回転運動で圧縮作用が得られるようにしたもので、高効率運転が可能で、高速回転に適している。圧縮機本体の小型化・低振動化が可能となり
用途によっては往復動式にとって代わりつつある。
蒸気圧縮機の冷凍サイクルとモリエル線図
蒸気圧縮冷凍機の冷凍サイクルとモリエル線図です。
サイクル | 行程 | 説明 | 温度 | 圧力 | 比エンタルピ― |
---|---|---|---|---|---|
①→② | 圧縮 | 冷媒は過熱蒸気となって圧縮機へ | 上昇 | 上昇 | 増加 |
②→③ | 凝縮 | 過熱蒸気から湿り蒸気、液体冷媒へ | 一定 | 一定 | 減少 |
③→④ | 膨張 | 膨張弁を通り、液体冷媒から湿り蒸気 | 低下 | 低下 | 一定 |
④→① | 蒸発 | 湿り蒸気から過熱蒸気へ | 一定 | 一定 | 増加 |
圧縮機 | 気化した冷媒を圧縮して高圧高温の冷媒とする。 |
凝縮器 | 高温の冷媒ガスが放熱し、凝縮して液体冷媒となる。 |
膨張弁 | 次の蒸発器での蒸発に備えて、冷媒を低圧低温の状態にする。 |
蒸発器 | 液体冷媒が吸熱して蒸発、冷水を冷やす。 |
- 令和元年問題64
- 平成30年問題66
問題68
ボイラに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 炉筒煙管ボイラは、直径の大きな横型ドラムを本体とし、燃焼室、煙管群で構成される。
- 鋳鉄製ボイラは、スケ―ル防止のため、装置系を開放系で設計・使用する。
- 貫流ボイラは、水管壁に囲まれた燃焼室及び水管群からなる対流伝熱面で構成される。
- 真空式温水発生機では、真空中で水蒸気を発生させ熱交換器に伝熱する。
- 真空式温水発生機では、容量によらずボイラに関する取扱資格は不要となる。
答え【2】
(2)は鋳鉄製ボイラは、スケ―ル防止のため、装置系を密閉系で設計・使用する。鋳鉄製ボイラは、鋳鉄という材料の節約から、高温・高圧・大容量のものは製作不可能。
ボイラ構造規格により、温度は高温120℃、圧力は蒸気ボイラの場合0.1MPa、温水ボイラの場合水頭圧50mまでに制限され、容量は換算蒸発量4t/h程度が限度である。また、構造上、セクションの内部清掃が難しいため、スケ―ル防止のため、装置系を密閉系で設計・使用するのが原則である。
写真提供
- 令和2年問題68
- 平成28年問題69
- 平成27年問題71
問題69
空気調和機を構成する機器に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- エアハンドリングユニットは、熱源設備から供給される冷水・温水・蒸気等を用いて空調空気を作り、各ゾ―ン・各室にダクトにより送風する。
- パッケ―ジ型空調機のセパレ―ト型は、一般に圧縮機と膨張弁を収めた室外機と、蒸発器、凝縮器と送風機を収めた室内機から構成される。
- ファンコイルユニットは、送風機、熱交換器、エアフィルタ及びケ―シングによって構成される室内設置用の小型空調機である。
- タ―ミナルエアハンドリングユニットは、小風量タイプで機械室を用いずに天井隠ぺい型などとして設置可能であり、個別制御性に優れている。
- パッケ―ジ型空調機の冷房専用機では、凝縮器の冷却方式により水冷型と空冷型に分類される。
答え【2】
(2)が誤りです。パッケ―ジ型空調機のセパレ―ト型は、室内機に膨張弁、熱交換器、送風機、室外機に圧縮機、熱交換器、送風機を収めた構成です。
- 令和2年問題71
- 令和元年問題76
- 平成29年問題64
- 平成28年問題70
- 平成27年問題66
問題70
空気調和設備に用いられる加湿装置又は減湿(除湿)装置に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 空気調和機内の冷却コイル表面において結露され減湿するのは、標準的な冷却減湿法である
- 吸収減湿法では、塩化リチウムや塩化カルシウムなどの水溶液を用いて減湿する。
- 空気を圧縮、冷却、結露させることで除湿し、乾燥空気を製造するのは、圧縮減湿法である。
- 蒸気吹出方式の加湿では、加湿装置により空気が微生物に汚染されることがある。
- 気化式の加湿装置は、温度降下を生じる。
答え【4】
加湿装置には蒸気吹き出し方式、水噴霧式、気化式があります。(4)の説明は、水噴霧式です。
蒸気吹き出し方式の加湿器装置は高温となるので無菌です。
(5)ですが蒸気加湿は蒸気により空気が加熱されるため、乾球温度もわずかに上昇する。 水での加湿は水が気化する際に空気から気化熱を奪うため乾球温度は逆に低下します。
従って蒸気吹出方式は温度降下は生じない。
水噴霧式、気化式は温度降下する。
- 令和2年問題72
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