平成29年度建築物の環境衛生「過去問題解説2」
問題26
建築物内の低湿度による影響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ほこりが飛散しやすくなる。
- インフルエンザウイルスの生存率が高まる。
- 静電気が発生する。
- 体感温度の上昇をもたらす。
- 皮膚、粘膜の乾燥が起こる。
答え【4】
低湿度は湿球温度が低いので、体感温度も下がります。- 低湿度の影響
- 冬期は低湿度になりやすい。
- 静電気が発生(冬に静電気が発生するのは湿度が低いため)。
- ウイルスに感染しやすい(冬にインフルエンザにかかりやすいのも湿度が低いためである)。
- 鼻やのどの粘膜に乾燥しやすい。
- アトピ―性皮膚炎や気管支喘息の患者では、低湿度が悪化因子となりうる。
- 高湿度の影響
- 蒸し暑い不快感を感じる。
- 建築物の結露の発生。
- かびやダニが発生。
- 建材の腐朽。
- アレルギ―疾患の発生。
- 令和元年問題27
問題27
シックビル症候群でみられる症状として、最も不適当なものは次のうちどれか。
- めまい
- 頭痛
- 下痢
- 息切れ
- 疲労感
答え【3】
下痢は含まれません。症状には以下があります。
良く出ますので覚えておきましょう。
シックビル症候群(症状)
粘膜の症状 | 眼、鼻、喉の刺激 |
中枢神経系の症状 | 頭痛、疲労、倦怠感、吐き気、めまい |
精神神経症状 | 抑うつ、不安、集中力・記憶力の低下 |
呼吸器系の症状 | 胸部圧迫感、胸やけ、息切れ、咳 |
皮膚の症状 | 乾燥、掻痒感、紅斑、ジンマシン、湿疹 |
シックビル症候群(定義)
- そのビルの居住者の20%以上が不快感にもとづく症状の訴えを申し出る。
- それらの症状の原因は必ずしも明確ではない。
- それらの症状のほとんどは該当ビルを離れたら解除する。
定義には該当ビルを離れたら解除するとなっています。(これ覚えておこう。)
慢性的なシックビル症候群の起きやすい建築物の発生要因
- 室内の空気が循環されている。
- 屋外空気の換気量の低減。
- 気密性が高すぎる。
- 室内がテクスタイルやカ―ペット仕上げになってている。
シックビル症候群につながる危険因子
個人の医学的背景 | アトピ―体質、アレルギ―疾患、皮膚炎、女性の更年期 |
仕事の要因 | 複写機、改築、改装、職場のストレス |
建築物の要因 | 室外空気の供給不足、清掃の回数不足など |
- 平成元年問題27
- 平成30年問題26
- 平成27年問題26
問題28
アスベストに関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- 合成された化学物質である。
- 過去に断熱材として建築物に使用されたが、現在は残っていない。
- 過敏性肺炎の原因となる。
- 労働安全衛生法により、試験研究を除き使用禁止である。
- 健康障害は、アスベスト製品製造工場の従業員に限られる。
答え【4】
正しいのは(4)です。労働安全衛生法55条、同施行令16条で製造が禁止されています。
アスベストは、自然界に存在する水和化したケイ酸塩鉱物の総称である。
発がん性があり、かつては使われていたが、現在は製造が禁止されている。
アスベストの繊維は極めて細く、飛散すると呼吸器系に入り、肺線維症、悪性中皮膚の原因となる。肺癌を起こす恐れがある。
クリソタイル、アモサイト、クロシドライト等の種類がある。
- 令和2年問題30
- 平成28年問題31
問題29
アレルギ―疾患に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 低湿度は、アトピ―性皮膚炎の増悪因子である。
- 真菌は、アレルゲンとなる。
- 花粉症は、アレルギ―疾患である。
- アレルゲンの同定は、症状発生の防止、治療の上で重要である。
- 低湿度は、気管支喘息の症状を緩和する。
答え【5】
低湿度は、気管支喘息の症状を悪化します。適切な温湿度管理が重要です。
近年、アレルギ―性鼻炎、花粉症、アトピ―皮膚炎、気管支喘息をはじめとするアレルギ―疾患が増加しており、国民の3割程度が何らかのアレルギ―疾患に罹患しているといわれている。
問題30
ホルムアルデヒドに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- シックハウス症候群と関連する。
- たばこ煙中に存在する。
- 刺激性に乏しい。
- 発がん性が認められる。
- 建築物衛生法で室内の基準値が定められている。
答え【3】
ホルムアルデヒドは還元性が強く、人間にとって毒性、刺激性が強く、発がん性が確認されています。
- ホルムアルデヒドは、常温では可燃性の無色の気体である。水やアルコ―ル等に溶けやすい。
- 35~38%水溶液はホルマリンと呼ばれている。
- ホルムアルデヒドは還元性が強く、人間にとって毒性、刺激性が強い。発がん性が確認されている。
- 建材、洗剤、化粧品、消毒剤、防腐剤に利用されている。
- 燃焼排気ガス、たばこ煙中にも存在
- シックハウス症候群及び肺気腫の原因物質である。
- 建築基準法によって居室の種類によるホルムアルデヒド発散建築材料の面積制限と換気設備の設置が義務付けられている。
ホルムアルデヒドは新築の住宅や家具類の接着剤から発散します。
それにより、シックハウス症候群が多発しました。(1990年代)
新築、増築、大規模の修繕又は大規模の模様替えを完了し、その使用を開始した時点から直近の6月1日から9月30日までの間に1回実施することと定義されています。
- 令和2年問題31
- 平成30年問題28
- 平成27年問題28
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