平成29年度建築物の環境衛生「過去問題解説1」
問題21
空気調和設備を設けている事務所について、労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則で定められる基準の項目とその基準値との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 二酸化炭素の含有率―――1,000ppm以下
- 気流――――――――――0.5m/s以下
- 気温――――――――――23~28℃
- 相対湿度――――――――40~70%
- 照度(普通作業)―――――150lx以上
答え【3】
気温は17℃以上28℃以下です。事務所衛生基準規則の定める基準は、機械換気設備、空気調和設備の有無によって異なります。 空気調和を設けている場合は以下の基準があります。
- 温度:17~28℃
- 相対湿度:40~70%
- 気流:0.5m/s以下
- 浮遊粉じんの量:0.15mg/m3以下
- 二酸化炭素の含有率:1000ppm以下
- 一酸化炭素の含有率:10ppm以下
- ホルムアルデヒドの量:0.1mg/m3以下
照度については以下の基準があります。
- 精密な作業:300lx以上
- 普通の作業:150lx以上
- 粗な作業 :70lx以上
問題22
人体の臓器系の疾病との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 内分泌系――――腎不全
- 呼吸器系――――肺気腫
- 神経系―――――パ―キンソン病
- 循環器系――――心筋梗塞
- 造血器系――――白血病
答え【1】
内分泌系――――甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症が正しい。
腎臓・泌尿器系―――腎不全
の組み合わせが正しい。
人体の機能
良く出題されるのをまとめてみました。臓器名 | 主な機能 | 主な構成器官 | 疾患 |
---|---|---|---|
循環器系 | 酸素と栄養の供給 | 心臓、動脈 静脈、リンパ管 | 心筋梗塞 |
呼吸器系 | 酸素の摂取と 二酸化炭素の排出 | 気道、肺 | 肺気腫、肺炎、気管支炎 |
消化器系 | 栄養と水の摂取、再合成と排泄 | 食道。肝臓、胃 十二指腸、肛門 小腸、大腸等 | 肝炎、腸炎 胃炎、胃潰瘍 |
腎臓、泌尿器系 | 血液中の老廃物の排泄 | 腎臓、尿管 膀胱、尿道 | 腎不全 |
感覚器系 | 外部刺激の神経系への伝達 感覚器系は神経系と密接な関係を持っている。 | 聴覚器、視覚器 味覚器、嗅覚 | 左記器官の疾患 |
筋骨格系 | 身体の構成と運動 | 骨、筋肉 | 骨折 |
生殖器系 | 子孫形成と種の保存 | 生殖器 | 生殖器疾患 |
皮膚系 | 発汗 | 外皮 | 皮膚疾患 |
神経系 | 刺激の中枢への伝達、 中枢からの命令の伝達 | 脳、知覚神経 運動神経、自律神経 | パ―キンソン病 脳出血、脳梗塞 |
造血器系 | 赤血球、白血球、血小板の生成 | 骨髄、脾臓 | 血友病、白血病 |
内分泌系 | 成長、代謝等の活性のコントロ―ル | 視床下部、下垂体 副腎、甲状腺、性腺 | 甲状腺疾患 |
- 知覚神経:感覚器からの刺激を中枢に伝達
- 運動神経:中枢からの命令を筋骨格系に伝達
- 自律神経:消火、呼吸、循環の諸機能の調整
問題23
生体機能の恒常性に関する次の記述のうち。最も不適当なものはどれか。
- 有害ストレッサは、恒常性を乱し、病気の発症や経過に影響を与える。
- フィ―ドバック機構により、生体機能の恒常性が破錠する。
- 熱射病は、高温にさらされた結果、体温調節機能が破錠することにより生じる。
- 神経系や内分泌系、免疫系等の機能により維持されている。
- ストレス負荷による影響は、個人差が大きい。
答え【2】
(2)が誤りです。外部環境に変化が生じたとしても、フィ―ドバック機構により生体機能の恒常性は維持される。
この問題は少し難しいと思います。
- 恒常性とは、外部環境の変化が生じた場合であっても、身体機能や体液成分等が、その時々の身体状況に応じて制御され、それらの変動幅を一定の限られた範囲内にとどめて、内部環境を一定の水準に保つことである。
- その恒常性は、神経系や内分泌系、免疫系等の機能により維持されています。
- 有害なストレッサは、生体機能の恒常性を乱そうとする有害な力であり、人体における神経系、内分泌系、免疫系等の変化を引き起こして、病気の発症や経過に影響を与える
参考サイト
健康と医療の情報局
- 平成28年問題23
問題24
次の温熱環境指数のうち、人体熱平衡式を基準とし着衣量やエネルギ―代謝量を用いて求めるものはどれか。
- 予測平均温冷感申告(PMV)
- 不快指数(DI)
- 修正有効温度(CET)
- 黒球温度(Tg)
- 湿球黒球温度(WBGT)
答え【1】
温熱環境指数とは体感温度を示す指数です。正解は(1)になります。
温熱環境指数
代謝量、着衣量、気流、湿度、空気温度、放射温度の6つを人体の熱的快適感に影響する主要な温熱環境要素という。
人間はこれらの温熱環境要素を個々に区別して暑い寒いと感じているわけではなく、それらを複合した結果を感じている。温度環境指数 | 乾球温度・湿球温度・気流 |
有効温度 | 乾球温度・湿球温度・気流 |
不快指数 | 乾球温度・湿球温度 |
新有効温度 | 乾球温度・湿球温度・黒球温度・気流・作業強度・着衣量 |
WBGT指数 | 乾球温度・湿球温度・黒球温度 |
体感温度を示すおもな温熱環境指数
測定器を用いて計測した示度を指標とする指数 | 湿球温度、カタ冷却力、黒球温度 |
実験・経験に基づく指数 | 有効温度、修正有効温度、不快指数、湿球黒球温度(WBGT) |
熱平衡式に基づく指数 | 作用温度、予測平均温冷感申告(PMV)、新有効温度 |
- Tw:Wet-bulb temperature(湿球温度)
- Tg:globe temperature(黒球温度)
- Ta:atmosphere temperature(乾球温度、気温)
問題25
エネルギ―代謝に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 基礎代謝とは、早朝覚醒後の空腹時仰臥の姿勢におけるエネルギ―代謝のことである。
- 日本人の30歳代の男子の平均基礎代謝量は2,650kcal/日、女子の平均基礎代謝量は1,950kcal/日である。
- 安静時代謝量は、基礎代謝のおよそ20%増しである。
- 熱産生は、摂取した食物の代謝による化学的エネルギ―に由来する。
- 睡眠時のエネルギ―消費量は、基礎代謝量より低い。
答え【2】
日本人の30歳代の男子の平均基礎代謝量は1,452kcal/日、女子の平均基礎代謝量は1,167kcal/日である。単位時間単位体表面積当たりでは、男子は約35.3kcal/m2/時、女子は約32.1kcal/m2/時となる。
早朝覚醒後の空腹時仰臥の姿勢におけるエネルギ―代謝のことを、基礎代謝と言います。
安静時代謝量は、基礎代謝のおよそ20%増しで,睡眠時では基礎代謝量の約95%程度とされています。
- 平成30年問題22
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