平成28年度給水及び排水の管理「過去問題解説1」
問題106
給水及び排水の管理に関する用語とその単位との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 精密ろ過膜の有効径―――――――μm
- 色度――――――――――――――度
- 腐食速度――――――――――――mm/y
- 排水基準におけるリン含有量―――%
- 加熱装置の能力―――――――――kW
答え【4】
排水基準におけるリン含有量はmg/Lです。今まで出題された単位の問題の総まとめです。
用語 | 単位 | 出題年度 |
---|---|---|
揚水ポンプの揚程 | m | 令和3年度、平成30年 |
精密ろ過膜の有効径 | μm | 平成30年、平成28年、平成26年 |
塩化物イオン | mg/L | 令和3年度、平成30年、平成26年、平成21年 |
BOD容積負荷 | kg/(m3・日) | 平成30年 |
下水道におけるリン含有量 | mg/L | 平成29年、平成26年 |
ゲ―ジ圧力 | Pa | 平成29年、平成27年 |
病院の単位給湯量 | L/(床・日) | 平成29年、平成20年 |
化学的酸素要求量 | mg/L | 平成29年、平成25年、平成22年 |
色度 | 度 | 令和2年、平成28年、平成24年、平成20年 |
腐食速度 | mm/y mm/年 | 令和3年度、令和2年、平成28年、平成23年 |
加熱装置の能力 | kW | 平成28年,平成21年 |
給湯配管からの熱損失 | W | 令和元年、平成27年 |
浮遊物質量 | mg/L | 平成27年、平成24年 |
BOD 負荷量 | g/(人・日) | 令和元年、平成27年、平成22年 |
水の密度 | kg/m3 | 令和元年、平成27年、平成23年、平成22年 |
溶存酸素濃度 | mg/L | 令和元年、平成25年、平成23年 |
水の比体積 | m3/kg | 平成25年 |
排水口空間 | mm | 平成24年、平成20年 |
水槽照度率 | % | 令和2年、平成24年 |
線膨張係数 | 1/℃ | 平成23年、平成21年、平成20年 |
排水基準におけるリン含有量 | mg/L | 平成22年 |
浄化槽の処理性能 | mg/L | 平成21年 |
総アルカリ度 | mg/L | 令和2年 |
水の比熱 | kJ/(kg・℃) | 令和3年 |
- 令和2年問題46
- 平成30年問題46
- 平成29年問題46
- 平成27年問題46
問題107
給水設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 配水管から給水管に分岐する箇所での配水管の最少動水圧は、150kPa以上を確保する。
- 簡易専用水道の設置者は、水槽の清掃を1年以内ごとに1回、定期に行う。
- 簡易専用水道とは、水道事業の用に供する水道から受ける水のみを水源とするもので、水槽の有効容量の合計が10m3を超えるもの
- 建築物環境衛生管理基準においては、給水栓における水について7日以内ごとに1回の遊離残留塩素濃度の検査が定められている。
- 水道法に基づく水質基準における鉛及びその化合物の基準値は、0.05mg/L以下である。
答え【5】
鉛及びその化合物の基準値は、0.01mg/L以下である。良く試験に出題されやすい基準値です。
一般細菌 | 1mLの検水で形成される集落数が100以下 |
---|---|
大腸菌 | 検出されないこと |
pH値 | 5.8以上8.6以下 |
色度 | 5度以下 |
濁度 | 2度以下 |
鉛 | 0.01mg/L以下 |
ホルムアルデヒド | 0.08mg/L以下 |
ひ素 | 0.01mg/L以下 |
総トリハロメタン | 0.1mg/L以下 |
鉄 | 0.3mg/L以下 |
銅 | 1.0mg/L以下 |
水道の分類
水道事業 | 一般の需要に応じて、水道により水を供給する事業で、計画上の給水人口が 101以上のものである。このうち給水人口が5,000人以下のものを簡易水道事業といい、給水人口が5,001人以上のものを一般に上水道事業と呼んで区別している。 |
専用水道 | 寄宿舎、社宅、療養所等における自家用の水道、その他水道事業の用に 供する水道以外の水道であって、100人を超える者にその居住に必要な水を供給する水道、または生活の用に供する1日最大給水量が20m3を超える水道をいう。 |
簡易専用水道 | 水道事業の用に供する水道および専用水道以外の水道であって、 水道事業の用に供する水道から受ける水のみを水源とするもののうち、水道から水の供給を受けるために設けられる水槽の有効容量の合計が10m3を超えるものをいう。 |
貯水槽水道 | 貯水槽の有効容量10m3以下のものを含めた水道事業からの水のみを水源とする水道をいう。 |
水道施設 | 水道のための取水施設、貯水施設、導水施設、浄水施設、送水施設、及び配水施設(専用水道にあっては、 給水の施設を含むものとし、建築物に 設けられたものを除く)であって、 当該水道事業者、水道用水供給事業者又は専用水道の設置者の管理に属するものをいう。 |
問題108
水中での塩素化合物(モノクロラミン・ジクロラミン・次亜塩素酸・次亜塩素酸イオン)の消毒力の強さの順として、最も適当なものは次のうちどれか。
-
消毒力が強い 消毒力が弱い
- ジクロラミン(NHCl2) >モノクロラミン(NH2Cl) >次亜塩素酸(HOCl) >次亜塩素酸イオン(OCl-)
- モノクロラミン(NH2Cl) >ジクロラミン(NHCl2) >次亜塩素酸イオン(OCl-) >次亜塩素酸(HOCl)
- 次亜塩素酸イオン(OCl-) >モノクロラミン(NH2Cl) >ジクロラミン(NHCl2) >次亜塩素酸(HOCl)
- 次亜塩素酸(HOCl) >次亜塩素酸イオン(OCl-) >モノクロラミン(NH2Cl) >ジクロラミン(NHCl2)
- 次亜塩素酸(HOCl) >次亜塩素酸イオン(OCl-) >ジクロラミン(NHCl2) >モノクロラミン(NH2Cl)
答え【5】
塩素は、水中で加水分解し、イオン解離して生じた次亜塩素酸(HOCl)や次亜塩素酸イオン(OCl-)が殺菌・消毒効果を示す。これが遊離残留塩素です。塩素は、アンモニア化合物と反応して、クロラミンを生成する。クロラミンは水のpH値によってモノクロラミン(NH2Cl),ジクロラミン(NHCl2)およびトリクロラミン(NCl3)となります。モノクロラミンとジクロラミンを結合残留塩素といいます。
殺菌・消毒力としては
- 次亜塩素酸(HOCl)の方が次亜塩素酸イオン(OCl-)より強い。
- ジクロラミン(NHCl2)の方がモノクロラミン(NH2Cl)よりも強い。
- 遊離残留塩素の方が結合残留塩素より強い。
- 直結直圧方式は、水道水の汚染のおそれが少ない。
- 直結増圧方式は、引込み管径が制限される。
- 高置水槽方式は、安定した水圧・水量が得られる。
- 圧力水槽方式は、受水槽を必要としない方式である。
- ポンプ直送方式は、小型圧力水槽を設けている例が多い。
- 事務所ビルのゾ―ニングの上限給水圧力は、一般に0.5MPaである。
- 受水槽容量は、一般に1日最大使用水量の1/10である。
- 一般水栓の最低必要水圧は、30kPaである。
- 給水配管の適正流速は、0.9~1.2m/sとされている。
- 大便器洗浄弁の最低必要水圧は、70kPaである。
つまり
殺菌・消毒力の強さは
次亜塩素酸(HOCl) > 次亜塩素酸イオン(OCl-) > ジクロラミン(NHCl2) > モノクロラミン(NH2Cl
) になります。
問題109
建築物の給水方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
答え【4】
圧力水槽方式
圧力水槽方式は、受水槽方式である。
受水槽内の水を給水ポンプにより、圧力水槽におくり、圧力水槽内の空気を圧縮、加圧し、その圧力によって給水する方式。
ポンプは水の使用により水の水圧が低下したときに起動する。一定水圧になると自動でポンプは停止するように制御する。
給水箇所で圧力の変動があるのが欠点である。
現在はあまり採用されていない。
給水方式の比較
水道直結方式 | 受水槽方式 | ||||
---|---|---|---|---|---|
直結直圧方式 | 直結増圧方式 | 高置水槽方式 | 圧力水槽方式 | ポンプ直送方式 | |
機械室 スペ―ス | 必要ない | ポンプ設置スペ―ス | 受水槽、高置水槽、 ポンプ設置スペ―ス | 受水槽、圧力水槽、 ポンプ設置スペ―ス | 受水槽、 ポンプ設置スペ―ス |
水質汚染 | 水槽による汚染がない 断水時等に配水管の 汚染のおそれ | 水槽による汚染がない 断水時等に配水管の 汚染のおそれ | 受水槽、高置水槽の汚染 配水管への影響は少ない | 受水槽の汚染 圧力水槽は腐食を除いて汚染少ない 配水管への影響は少ない | 受水槽の汚染 配水管への影響は少ない |
断水時対策 | 給水不可能 | 給水不可能 | 受水槽、高置水槽の 残留水による給水 | 受水槽、圧力水槽の 残留水による給水 | 受水槽残留水による給水 |
給水管径の選定 | 配水管径による制約 | 配水管径による制約 引き込み管径は受水槽 方式より大きくなる | 給水管径は自由に設計可 | 給水管径は自由に設計可 | 給水管径は、ポンプ給水量による制約 |
適用建築物 | 小規模で通常2階まで 高圧給水で最大5階まで | 中規模かつ10回程度まで | 小規模から大規模まで可能 | 小規模から大規模まで可能 | 小規模から大規模まで可能 |
維持管理 | 機器等なく容易 | 増圧装置、減圧逆流防止器の維持管理 | 受水槽、高置水槽、 ポンプの維持管理、水質管理 | 受水槽、圧力水槽、 ポンプの維持管理、水質管理 | 受水槽、 ポンプの維持管理、水質管理 |
設備費 | 安い | 増圧装置は比較的高い | 高置水槽の設備費 | 圧力水槽が小さければ 直結式より高いが、比較的小 | 受水槽加算で直結増圧式より高い/td> |
問題110
給水設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
答え【2】
(2)は高置水槽は容量は、一般に1日最大使用水量の1/10である。受水槽容量は、一般に1日最大使用水量の1/2である。
混合しないようにしましょう。
以下は試験で出やすいので一緒に覚えておきましょう。
器具 | kPa |
---|---|
一般水栓 | 30 |
大便器洗浄弁 | 70 |
小便器洗浄弁 | 70 |
ガス瞬間湯沸かし器4~5号 | 40 |
ガス瞬間湯沸かし器7~16号 | 50 |
ガス瞬間湯沸かし器22~30号 | 80 |
シャワ― | 70 |
適正流速は、0.9~1.2m/sです。
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