平成28年度建築物の構造概論「過去問題解説1」
問題91
建築物と都市環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 両側を高い建築物で連続的に囲まれた道路空間は、半密閉の空間のようになるため、ストリ―トキャニオンと呼ばれる。
- 熱容量が大きい材料は、日射熱を蓄熱しにくい。
- 地盤沈下は、典型7公害の一つである。
- 都市化により、都市の中心部の気温が郊外と比較して高くなる現象をヒ―トアイランド現象という。
- 乱開発などによって市街地が広がることをスプロ―ル現象という。
答え【2】
(2)は熱容量が大きい材料は、日射熱が蓄熱される。アスファルト舗装面やコンクリ―ト建造面など熱容量の大きい材料や構造物が地面を覆うことによって、これらに日中吸収された日射熱が蓄熱される。
(3)ですが、公害は、環境基本法により、次の7つが定義されています。
これを典型7公害といいます。
- 大気の汚染
- 水質の汚濁
- 土壌の汚染
- 騒音
- 振動
- 地盤沈下
- 悪臭
- 令和元年問題91
- 平成30年問題91
問題92
建築物の設計・施工における実施設計図書として、最も不適当なものはどれか。
- 建築構造図
- 電気設備図
- 維持管理書
- 給排水衛生設備図
- 標準仕様書
答え【3】
(3)の維持管理書は、設計図書に含まれない。設計図書とは、建築物の建築工事の実施の為に必要な図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書と定義されています。設計書は実施設計図書ともいい、建築物の施工 上必要であると同時に、建築主との請負契約や見積もり、積算書等にも必要なものとなります。
設計図面は意匠図面、構造図面、設備図面に大別される。
主な図面
配置図 | 建築物と敷地の関係を示す |
平面図 | 部屋の配置を平面的に示す |
立面図 | 外観図ともいう。東西南北に面する4面を描く |
断面図 | 建築物を垂直に切断して内部の立面を示す。主要部を2面以上描く |
天井伏図(ふせず) | 天井の意匠や仕上げ、照明器具、空調器具の大きさ、配置を示す。 天井伏図(てんじょうふせず)とは部屋の天井の仕上げを床から見上げた場合の見取図。天井仕上げ材により両サイドにどれくらいの半端モノを使うか、目地の割付の寸法などを指示するために利用される図面のこと。 |
仕様書 | 建築工事における材料や製品の品質、性能、施工方法、製造者等を指示するもの |
現寸図 | 意匠的に又は構造的に複雑な部分を現尺で描く図面。現寸図は建築基準法に定める設計図書に含まれない。 |
透視図 | 雰囲気や空間の構成を理解しやすいように建築内部を透視して描いた図 |
日影図 | 冬至における日照状態を描く |
矩計図 | 断面詳細図の1種。建物の代表的な部分の外壁の詳細を示す。 建物の一部を切断して、 納まりや寸法等を細かく記入した断面図の詳細版です。 |
仕様書に記載される事項
- 品質
- 成分
- 性能
- 製造や施工の方法
- 部品や材料のメ―カ―
- 施工工業者等を指定するもの
問題93
建築物の建築計画及び建築士法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 一級建築士は、建築士法に基づき、国土交通大臣の免許を受けて得られる資格である。
- 二級建築士は、建築士法に基づき、都道府県知事の免許を受けて得られる資格である。
- 建築士法に基づき、一定規模の建築物の設備設計については、建築設備士に設備関係規定への適合性の確認が義務付けられている。
- 貸事務所における収益部分の床面積を延べ面積を除したものをレンタプル比という。
- 貸事務所における共用スペ―ス、設備スペ―ス、構造用耐力壁等を集約した区画をコアという。
答え【3】
建築設備士とは建築設備の設計と工事監理について建築士に助言できる。とあり全く違く資格です。
(3)は設備設計1級建築士に設備関係規定への適合性の確認が義務付けられている。
設備設計1級建築士及び構造設計1級建築士は2005年に耐震偽装問題が発生したことにより2006年に建築士法の改定により新たに設けられた資格です。
設備設計1級建築士及び構造設計1級建築士
高度な専門能力が必要とする一定の建築物について、法適合チェックが義務付けられている建築物の関与。
問題94
鉄筋コンクリ―ト構造とその材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 柱の主筋は4本以上とし、主筋に直角となるように帯筋が配筋される。
- 直接土に接しない柱、梁において、鉄筋に対するコンクリ―トのかぶり厚さは、3cm以上としなければならない。
- 構造耐力上主要な部分である梁は、圧縮側、引張側の両方に主筋を配した複筋梁とする。
- 鉄筋とコンクリ―トの線膨張係数は、ほぼ等しい。
- 鉄筋に対するコンクリ―トのかぶり厚さは、コンクリ―ト表面から鉄筋の中心までの距離をいう。
答え【5】
(5)のかぶり厚さとは、コンクリ―ト表面から鉄筋の表面までの距離をいいます。コンクリ―トのかぶり厚さ
かぶり厚さとは鉄筋とコンクリ―ト表面との距離。
耐力壁、柱、梁 | 3cm |
耐力壁以外の壁、床 | 2cm以上 |
直接土に接する壁、柱、床 布基礎の立上り部分 | 4cm以上 |
基礎(布基礎の立上り部分を除く。) | 捨てコンクリ―トの部分を除いて、6cm以上 |
- 令和2年問題92
- 平成30年問題104
問題95
鉄骨構造とその鋼材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 鋼材の強度は温度上昇とともに低下し、1000℃ではほとんど零となる。
- 梁に使用されるH形鋼のウェブは、主にせん断力に対して抵抗する。
- デッキブレ―トは、波状の薄鋼板で、床の下地に用いられる。
- 鋼材の耐火被覆工法には、吹抜け工法、巻付け工法、成形板張り工法等である。
- 高力ボルト摩擦接合は、材間引張力により力を伝達する。
答え【5】
(5)の高力ボルト摩擦接合は、材間圧縮力により力を伝達する鉄骨構造の鋼材の接合方法
- リベット接合
- ボルト接合
- 溶接接合
- 普通ボルト接合は、支圧せん断力により力を伝達する。
- 高力ボルト摩擦接合は、材間圧縮力による部材間の摩擦力による力を伝達する接合です。
- 令和2年問題94
- 平成30年問題97
- 平成30年問題98
- 平成29年問題97
- 平成29年問題98
- 平成28年問題97
- 平成28年問題98
- 平成27年問題98
- 平成27年問題99
-
がありますが、近年はボルト接合が主です。
ボルト接合にも普通ボルト接合と高力ボルト摩擦接合があり高力ボルト摩擦が多く用いられている。
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